【MLB】「楽して打てた安打なんて1本もない」イチローの10年連続200本安打の偉業から5年
イチローが10年連続200本安打を達成してからちょうど5年が経過した。彼のメジャーキャリアは、この記録の前後で明確なコントラストを見せている。当時、『MLB.com』はどう報じたか。
2015/09/24
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2011年以降は200本安打に到達せず
あれから5年の歳月が流れた。
2010年の現地時間9月23日、当時マリナーズのイチローはロジャースセンタ―でのブルージェイズ戦の5回、ショーン・ヒルからセンター前に安打を放った。これがそのシーズン200本目で、通算10度目はメジャータイ、10年連続は自己の持つメジャー記録の更新だった。
翌シーズン以降、イチローは200本安打に到達することなく、打率も2割台が続いている。今季も、新天地マーリンズで元気にチーム最多の出場を果たしているが、打率は.237で(22日現在)。さすがに41歳の年齢を感じざるを得ない。彼のメジャーでのキャリイアは、2010年以前と翌年以降で明確なコントラストを見せている。
当時、『MLB.com』は「イチローは10度目のシーズン200本安打でメジャー記録に並ぶ」という見出しで報じている。
まずは、記録達成の瞬間の球場内の様子だ。
The Mariners dugout, along with the fans at Rogers Centre, gave the Japanese native a standing ovation. Following roughly 30 seconds of applause, Ichiro removed his cap and acknowledged the crowd. The ball, fielded by center fielder Vernon Wells, was promptly retrieved by a Mariners staff member.
ロジャースセンタ―のファン同様に、マリナーズのダグアウトの同僚もこの日本生まれの選手にスタンディング・オベーションを送った。ほぼ30秒にも及ぶ喝采の後で、イチローは帽子を取り観衆に応えた。センターのバーノン・ウェルズの元にあるそのボールを、マリナーズのスタッフが回収した。
イチローの快挙に素直に敬意を表したのは、敵地のファンや同僚だけではない。ブルージェイズの主砲ホゼ・バティスタも同様だ。彼は、この日記念すべきシーズン50本目の本塁打を放っているが、この日の主役はイチローであったことを認めている。
「(10年連続200本安打なんて)信じられない記録だよ。その現場に居合わせることができるなんて、オレは幸せ者だ」
1度だけでも200本安打を達成するのは並大抵のことではない。
実際、イチローの記録が途切れた2011年以降昨季までの4年間では9人しかいない。2013年に至っては達成者ゼロだった。記事では、この記録を10年も続けることの苦労に関するイチローのコメントも紹介されている。
「メジャーにデビューする時点では、誰も200本以上の安打なんて期待していなかったと思う。もし、打率が.260や.270で安打数が180本くらいだったら、みんなこう言ったと思う。『よくやったじゃないか』、と。だけど、毎年達成しなければならないこちらの立場を想像してみてほしい。もし200本を打てなかったらみんなからこう言われるんだ。『どうして、もう打てないんだよ』ってね」