黒田博樹を彷彿。故障期間を経てMLB仕様に“モデルチェンジ”した田中将大【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は投球スタイルを変えた田中将大についてだ。
2015/09/30
Getty Images
黒田博樹と似たモデルチェンジ
現在の田中はもはや、打者を圧倒するパワーピッチャーではない。少し打たれながらも試合を作る安定感のある先発投手に“モデルチェンジ”した。
これは黒田博樹のケースを想起させる。
黒田も当初は速球とスプリット主体で投げていたが、安定感を増すためにツーシーム(シンカー)を主体とし、スライダーも用いて打者を打たせて取る技巧派に変貌し、MLBで長く活躍した。
NPBの投手が成功するには、こうした“モデルチェンジ”が必要なのだ。
故障との戦いの中、田中はこの2シーズンでMLBの先発投手として進化したのではないだろうか。
田中はNPB最後のシーズン、ポストシーズンも含め3680球を投げた。
しかしここ2年間は2009球、2195球。先発投手の基準とされる3000球を大きく下回っている。故障もあってここ2年、存分に投げたとは言えなかった。
ポストシーズンでは、重要なマウンドを任されるだろう。ここで好投をすることによって首脳陣の信頼感は増すだろうし、来季へ向けての自信もつくだろう。
田中にとってはまさに正念場だ。
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