【MLB】常識を超えたマーリンズのサプライズ。「投手イチロー」は来季メジャー契約意思の表れ
マーリンズ・イチローの15年目は、意外な形で幕を下ろした。4日の今季最終戦で「投手、イチロー」がコールされたのだ。この意図とは――。
2015/10/06
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レジェンドへの敬意
マーリンズ・イチローの15年目は、意外な形で幕を下ろした。4日の今季最終・フィリーズ戦。2-6と4点ビハインドの8回、場内をどよめかせるコールが響いた。「投手、イチロー」。
結果は1回を打者5人で抑え、2安打1失点。「2度とピッチャーの悪口は言わないと誓いました」と開口一番、かしこまった。最速は89マイル(約143km)。「いやあ、ショックでしたねぇ」と続けていたずらっぽい笑みを浮かべた。
日米野球ファンを驚かせたサプライズで終えた15年目だが、本職のバットは低空飛行のまま沈んだ。右翼守備から出場したこの試合は2打席連続三振。年間安打91本、打率.229はともにメジャー自己最低だ。
今月22日には42歳を迎える。
1年契約が今季限りで切れるイチローに来季メジャー契約は届くのか。常識で考えれば絶望的な状況だが、ここでもサプライズが待っている。答えは「may be」。おそらく、ある。
マーリンズがイチローの希望を叶え、投手デビューを果たさせたのは、決して最後の思い出作りではない。
大リーグでは大差がついた場面などで、野手が投手を務めるケースはままある。また、その際に実績を十分に積んだベテラン野手の願いをくんで登板させることもある。
昨年8月には35歳のベテランで、そのシーズン限りで現役引退を決めていたアダム・ダン(ホワイトソックス)が登板。通算3010安打のウェード・ボッグズも、レイズに在籍し41歳だったた現役最終年の99年の8月に、マウンドに上がっている。
両者はまさに思い出作りだったわけだが、イチローの場合は状況が異なる。
チームにはレジェンドに対する敬意があふれている。それを前面に押し出すように、編成強化担当のマイケル・ヒル氏は来季残留へのラブコールを送ってみせた。