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【MLB】球場全体から喝采を浴びた投手イチロー。米メディア「メジャーでの目標の一つを果たした」

イチローはメジャー15年目にして初登板を果たした。来季の契約を危ぶむ声もあるが、これが最後の試合となるかどうかは別にして、シーズン最終日のイチローは日米のメディアに大きく取り上げられた。

2015/10/06

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Getty Images



チームメイトも監督も祝福で迎える

 シーズン最終日となる10月4日、『ESPN』はいつものようにこの日の見どころをいくつかピックアップした。地区優勝を懸けて登板するレンジャーズのコール・ハメルズの投球や、ヤンキースがワイルドカードのホームフィールド・アドバンテージ(地元での開催権)を獲得できるか、などが注目点として紹介されているが、そんな中にイチローのプレーぶりも含まれていた。

It could be Ichiro Suzuki’s final game as well if he doesn’t find a job next season;
来季はどこからも契約のオファーがないかもしれないため、今日の試合はイチローにとっても最後の試合となる可能性がある。

 確かに41歳の今季、打率.229でOPS.561という低調な成績に終わったイチローに、来季の契約を申し出る球団は極めて限られるだろう。

 結果的に、今季最終戦のイチローのプレーぶりは日米のメディアに大きく取り上げられた。しかし、それは来季の契約の有無とは全く関係なかった。そう、彼は念願の登板を果たしたのだ。

『ニューヨーク・タイムズ』紙のデビッド・ウォールドスタイン記者は、投手としてマウンドに上がるのはイチローにとってメジャーで果たすべき目標のひとつであったと伝えている。

Suzuki, 41, started in right field and was brought in to pitch by Manager Dan Jennings in the bottom of the eighth, fulfilling a longtime wish of Suzuki, a talented pitcher in high school.
41歳のイチローは当初はライトを守っていたが、ダン・ジェニングス監督の命により8回裏のマウンドに上がり、長年の夢を実現した。彼は、高校時代は才能あふれる投手だった。

 イチローは愛工大名電高時代には3年の春に投手として甲子園に出場しているし、オリックス時代の1996年には球宴で登板したのも有名なエピソードだ。MLBでは、2001年のデビュー以来2357試合目にしてようやく登板を果たしたのだ。記事では、彼はメジャーの野手でも有数の強肩の持ち主で、外野手として通算116補殺を記録していることも紹介されている。

 イニング前のイチローのウォームアップ投球中には、テレビのカメラがジェニングス監督他マーリンズの選手やコーチたちがわくわくしながら見守っている様子を捉えていた。

 イチローは18球を投じ11球がストライクだった。カーブ、スライダーも交え速球は時速88マイルに達した。結果は、二塁打2本を献上し1失点とほろ苦いもので、ウォールドスタインは、「今やイチローは、彼に多くの安打を打たれた投手達の気持ちをしっかりと理解するようになった」と記している。

 それでも、登板を終えたイチローがダグアウトに戻ると、チームメイトはあたかも彼が満塁の危機を切り抜けてくれたかのように祝福で迎えた。敵地フィラデルフィアの観衆(厳しいブーイングで有名だ)も喝采を送った。イチローの登板は彼本人だけでなく、同僚やファンにとっても夢だったのだ。

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