【MLB】課題の一発に泣いた、田中。2年目省エネ投法習得も、足りなかったエースの凄み
田中将大の2015年はあっけなく終わった。6日アストロズとのワイルドカードゲームに先発した田中は、ソロ本塁打2発に沈んだ。
2015/10/08
Getty Images
一発勝負ならではの難しさ
田中とアストロズの、唯一の顔合わせは6月27日。この試合でも田中は3本塁打を浴び、序盤の6点リードを守りきれず追い付かれている。
長いシーズンの中には、無駄な走者を許すよりもソロ本塁打ならば、と開き直る投球も必要だろう。だが、この日は負けたら終戦の一発勝負。1点も許さない、細心の投球が必要とされた。
田中自身、そこは心得ていたはずだ。試合前には「シーズンとは違います。内容は良くなくても失点を防いで投げることが大事だと思いますし、良い形でリリーフ陣につなぐことが必要だと思います」と話していた。
チームも田中の後に備えて、ルイス・セベリーノ、イバン・ノバら先発投手もブルペンでスタンバイさせていた。一発を避けて慎重を期した投球で球数がかさみ、早い回で降板することになっても、それを想定した布陣を整えていたのだ。
長いレギュラーシーズンで続けてきた投球スタイルを、急に短期決戦仕様に変更しろと言われても、それは無理な話だったのだろう。一発勝負ならではの難しさ。頭では理解していたはずが、マウンド上の投球でそれを具現することはできなかった。
ヤンキースは3年ぶりに悲願だったプレーオフ進出を果たした。
しかし早すぎる終戦に、充実感はかけらも感じられない。常勝帝国にとっては、10月の戦いこそが本当の勝負という伝統が染みついているからだ。
右肘の不安を抱えながら戦い抜いた田中の2年目は、終わってみれば消化不良のまま幕を閉じた。短期決戦で相手打者をねじ伏せる凄味。それこそが、ヤンキースのエースに何よりも必要とされるもの。それこそが、7年総額1億5500万ドル(約186億円)という契約に込められた思いのはずだ。