記録マニアも熱狂!〝最も過小評価されていた大投手〟岩隈久志が進化を証明した2014年
今シーズン15勝をあげ、終盤にはマリナーズのプレーオフ進出争いの中、力投を続けた岩隈久志。許盗塁数、与四球数、1イニングあたりの球数……際だった数字を残し、自身の実力を全米に見せつけた。
2014/10/26
許盗塁数は驚異の「0」
記録マニアのMLBファンに「IWAKUMA」という名前が鮮明に刻みつけられた1年間だった。マリナーズ・岩隈久志投手が3年目にみせた進化は、際だった数字を伴うだけに説得力が違った。
確かに昨年もリーグ3位の防御率2.66という数字を残し、サイ・ヤング賞投票でもマックス・シャーザー(タイガース)、ダルビッシュ有(レンジャーズ)に次ぐ3位に入った。それでも、多くのファンがその存在を認知していたわけではない。
ようやく今季終盤には多くのメディアに岩隈の特集記事が掲載され、「最も過小評価されている大投手の一人」という枕詞が付いてまわった。
開幕は右手中指の腱を痛めていたため、故障者リスト入りして迎えた。初登板は5月3日のアストロズ戦。1カ月遅れの開幕を白星で飾ると、投手・岩隈の本領が徐々に発揮されていった。
岩隈が許した今季の盗塁数は何と「0」。
8度走者に走られたが、その全てを刺した。
今季規定投球回に達した88投手中、0は他にダグ・フィスター(ナショナルズ)だけ。そのフィスターは、刺した回数は1回のみだった。
実は隠れたメジャー記録に迫っていた。投手塁阻止率が100%だった投手で、刺した回数が最も多かったのは、1968年のルイス・ティアント(インディアンス)の9度。あと1度刺せば、けん制名人で知られたティアントに肩を並べていたのだ。
盗塁阻止は投手と捕手の共同作業。その責任は「投手8割、捕手2割」とも言われる。巧みなけん制で走者を塁にクギ付けにし、いかにクイックモーションを速くできるか。ただ球を打者に投げるだけではない、「投手」という職業に求められる役割を実演できている証だ。