数年後には日本に?西岡や岩村も被害、「殺人スライディング」対策にMLB新ルール作成へ
ポストシーズンでまたもや「殺人スライディング」で重傷者が出た。すでにMLBでは本塁上のクロスプレーを禁ずるため、無用なタックルやブロックを一切禁止にしているが、今後は二塁でのスライディングに対しても、明確なルールが導入される可能性が高い。
2015/10/14
Getty Images
9月にパイレーツの韓国出身・姜正浩がやはり殺人スライディングでじん帯断裂の大怪我を負った。
併殺崩し狙いのスライディングで重傷
ポストシーズンという大舞台での惨事だけに注目度は高かった。
ドジャースのチェース・アットリーが、10日のメッツとの地区シリーズ第2戦で二塁上で野手と激しく交錯。併殺崩しを狙ったスライディングで、相手のルーベン・テハダは右腓骨骨折という重傷を負った。
いわゆる「殺人スライディング」。大リーグ機構はこのプレーを重く見て、アットリーに第3戦、第4戦の出場停止処分を言い渡した。アットリー側は故意に負傷させたわけではないとして、不服申し立てを行い、処分は確定されていない。
12日の敵地での第3戦で、ドン・マッティングリー監督はさすがにアットリーの起用を控えた。処分確定までは出場が可能でスタメンにも置けたが、あえてベンチに控えさせ、代打起用もしなかった。
かつてはレイズ時代の岩村明憲も、ツインズ時代の西岡剛も、同様のプレーでじん帯断裂や骨折といった重傷を負い、結果的にそれがメジャーでの野球人生を終わらせることになってしまった。
今季も9月にパイレーツの韓国出身・姜正浩が同じケースでじん帯を断裂。怪我を負わせたのが、岩村を負傷させたのと同じクリス・コグランだったため、アジア出身内野手への大きな障害として、二塁上のクロスプレーがクローズアップされたばかりだった。
今回被害を受けたのは、アジア出身ではなく、パナマ出身の25歳のプロスペクト。将来有望な若者が、またも野球人生を脅かされかねない重傷を負ったことで、是非を含め様々な議論が沸き起こった。
大リーグ機構は昨シーズンから、本塁上のクロスプレーを禁ずるため、無用なタックルやブロックを一切禁止にした。これは当時、脳振とうや本塁上の接触による故障で、長期離脱する捕手が相次いでいたためだ。
実際に、本塁でのクロスプレーはほとんど見られなくなった。それを受け、日本球界もこのルールを導入しようと、機構側が話し合いを続けているほどだ。
米球界の世論は、併殺崩しの殺人タックルも禁止する方向へ流れていきそうな気配だ。
確かに映像で確認してみれば一目瞭然。
今回のアットリーも、9月のコグランも、スライディングは全くベースに向かっていっていない。明らかに野手へ向いている。