【MLB】楽観視できない復帰までの道。3年目、進化が必要な田中にとってリハビリが足かせに
ヤンキースの田中将大が20日に右肘を手術した。内視鏡での骨棘(こっきょく)除去手術はプロ野球選手ではよくある例で、来年のキャンプインには間に合う見込みだが、MLB3年目、進化しなければならない田中にとって、貴重なオフシーズンをリハビリに費やすことになる。
2015/10/23
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オフシーズンはリハビリ中心に
最近、同様の手術を受けた好投手の代表例は、オリックス・金子千尋。11月29日に同じく内視鏡下での骨棘除去手術を受けた。当初の診断は、実戦復帰まで3カ月。3月のオープン戦や開幕には十分間に合うというものだった。
だが、その後の経過はご存じの通り。シーズン初登板は5月23日のロッテ戦までずれ込み、結局今季は16試合で7勝6敗、防御率3.19と不本意な結果に終わった。
金子は11年にも同様の手術を受けている。キャンプ中に異変を訴え、2月9日に遊離軟骨除去手術。1軍復帰は6月5日だった。
金子のケースだけ見ても、復帰までの時間には大きな差がある。加えて田中と金子では肉体も違うので単純比較は難しい。
それでもキャンプ、開幕に向けて十分間に合う、と楽観してしまうのは早計だろう。
田中は今季最終登板となった8日のワイルドカードゲーム・アストロズ戦後「自分のこの位置には満足していませんので、より高いところを目指して投げていくだけです」とレベルアップを誓っていた。
そのためには、キャンプはもちろん、自主トレ期間中から、高い意識を持ってフォーム改善や技術力強化に取り組まなければならない。それには確実に、今回の手術からのリハビリが足かせとなる。
1年以上を棒に振るトミー・ジョン手術という爆弾を抱えるせいか、多くの米メディアは今回の手術に対して楽観的だ。
プロの投手なら誰もが通る道。よくある話。何人もこの手術を経験して、普通の顔でマウンドに上がって投げている。それも確かに事実だ。
だが、来季の田中には今季終盤に果たせなかった「短期決戦で相手打線をねじ伏せる、絶対的なエース」となることが必要とされる。そうならないと、ヤンキースの絶対的エースとしての7年総額1億5500万ドルという契約には見合えない。
その道のりを考えれば、簡単に楽観視はできない。長いようで短い、限られた貴重なオフシーズン。来年の10月に実りの秋を迎えるための、大事な地ならしの時間は、ますます短く限られることとなった。