【MLB】マーリンズ新監督は20世紀最後の天才打者も、采配は「?」。21世紀の天才打者・イチローとの融合なるか
29日、米メディアは一斉にマーリンズの新監督に今季までドジャースで監督を務めたドン・マッティングリー氏に決まったと報じた。
2015/11/01
Getty Images
第4の外野手、イチローの起用回数は増える?
マッティングリーの現役時代は1982~1995年まで、低迷期のヤンキース一筋で過ごしたバットマンだった。ヤンキースはデビュー前年の81年にはワールドシリーズで敗れたが、その後93年までプレーオフには一度も進めず。現役最終年の95年に初めて地区シリーズに出場したが、そこでチームは敗退した。その翌年からヤンキースは4年間で3度のワールドシリーズ制覇という新たな黄金時代を迎える。
左打ちの好打者、そしてチームタイトルには恵まれなかった点はイチローとの共通項だろう。
低迷を極めたチームで中距離打者として安打を量産。通算2153安打、222本塁打、1099打点。86年には自己最多のシーズン238安打を放つなど、最多安打のタイトルは2度獲得。他に首位打者、打点王、シーズンMVPにも1度ずつ輝いている。
生涯打率.307は、イチローの同.314と大差ない。特筆すべきは二塁打の多さで、84年から44、48、53本で3年連続リーグ最多。二塁打通算442本は、イチローの同341本を凌駕している。
「とてもいい話し合いができたと思っているよ。マーリンズのフロントスタッフのことを気に入ったし、交渉の行く末を見守りたい」。26日の面談後、ラジオ番組に出演したマッティングリーはこう語っている。ドジャース退団後にも、指揮官としての現場復帰を望んでいた。
ドジャース指揮官時代の特徴は、スタメンを固定することが少なかったこと。故障者の都合にもよったが、基本的にターンオーバーのように豊富な駒を状態に合わせて起用してきた。そういう意味では、第4の外野手として再契約したイチローの起用回数は想定されたよりも増えるかもしれない。
ただ、マーリンズの背後には悪名高きジェフリー・ロリア・オーナーが控える。気まぐれな同オーナーが02年に球団を買収してから、これで監督は早くも10人目。ヤンキースなどはその14年間で監督は2人しか経験していない。
またロリア・オーナーはニューヨーク出身で、熱心なヤンキースファンとして知られる。現役時代にヤンキースの象徴として不遇の時代を支えたマッティングリーへ、ミーハー的に飛び付いたと見る米メディアも多い。
ただでさえドジャース時代は潤沢な資金の下、豊富な戦力に恵まれていた。今季中の補強も加えれば、年俸総額はプロ野球チームとして史上初の3億ドル(約360億円)超えと言われる。マーリンズの今季年俸総額は、30球団中最低の6490万ドル(約78億円)。チームの戦力状況も、求められる手腕も全く異なり、今回の就任に懐疑的な目は多い。
20世紀最後の天才打者と、21世紀の天才打者の融合は、果たしてどんな化学反応を見せるのか。イチローは新天地での1年目を終え「ビックリ箱のようなチーム」と印象を口にしたが、ストーブリーグの開幕を待たずして、マイアミの街はもう騒がしくなってきた。