【MLB】最短期間での復帰よりダルビッシュが選択した”ノースロー”。レ軍最新のリハビリプログラムは壮大な実験
レンジャーズのダルビッシュ有の復帰までの見通しをジョン・ダニエルズGMが明らかにした。本人はまもなく日本へ帰国し、5~6週間はノースローで調整する。この”ノースロー”がポイントだ。
2015/11/15
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ダルビッシュだけに頼らなくてもOKな陣容に
加えて来季も地区連覇を狙える布陣が整っていることが大きい。
7月末のトレード期限前にフィリーズから獲得したコール・ハメルズは、18年シーズンまで契約を残す。デレク・ホランド、前述のペレスと順当なら二桁勝利を期待できるエース級左腕が3枚もおり、ダルビッシュ1人だけが頼りで苦戦が予想された今季キャンプイン時とは様相が全く違う。
ヨバニ・ガヤード、コルビー・ルイスはFAとなったが再契約の可能性も残し、チチ・ゴンザレス、ニック・マルティネスら若手もしっかり育ってきている。
ようするにダルビッシュの復帰を急がせる必要がないわけだ。
逆に5月半ば、もしくは6月中にずれ込んだ場合でも、トミー・ジョン手術明けの投手は復帰後試合を重ねるごとに投球内容が安定し、向上してくる。
そう、勝負のポストシーズンを迎える頃に、エース右腕の状態が100%を迎えられれば、それこそ最高のシナリオとなる。
ダルビッシュは手術前日に自身のブログに「これはダルビッシュ有の始まりか、ダルビッシュ有の終わりかはまだ判別がつきません。ただ愛する野球界の発展に繋がることは確実だと考えています」とつづった。リハビリの過程で多くのことを試し、今後も続くであろう肘の手術を余儀なくされる後輩たちへ、残すべきものを得るリハビリにすると。
はやる気持ちを抑えることになるノースロー調整。その答えがわかるには、早くても1年後のオフまで待たなければならず、17年シーズンも見る必要があるだろう。そしてダルビッシュも、レンジャーズも、この勇気ある決断が大きな成果をもたらすと信じている。