青木はイチローの後継者にあらず。マリナーズ不動の1番打者へ近道は”安打より出塁”
ジャイアンツからFAとなっていた青木宣親は脳振とうの後遺症が心配された身体検査もパスし、マリナーズへの入団が正式に決まった。
2015/12/04
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1番打者として高い適性
マリナーズの打線において、特に青木の長所として注目されているのは高い出塁率、そして低い三振率の2つだ。
青木のメジャー通算出塁率は.353で、昨季も同じ数字。
実はこれは、イチローのメジャー通算出塁率.356と大差がない。通算打率は青木の.287に対し、イチローの.314と水をあけられるが、四球を選ぶ辛抱強さと選球眼などが加味され、1番打者に最も求められる出塁率においては、両者はほぼ同レベルにある。
加えて三振の少なさだ。
青木のメジャー通算三振率は.086。イチローの同.106を下回る。
三振せず、バットに当てれば何かが起きる。例えば内野ゴロを相手野手が失策し一塁に生きても、出塁率にはカウントされない。俊足が失策を誘い内野安打気味に生きても、相手失策と判定されるケースもある。
三振の少なさも当然1番打者に求められる要素の一つ。この2つを加味すれば、青木の1番打者としての適性は偉大な先輩・イチローに負けず魅力的なことがわかる。
今季マリナーズは1番を固定できず
マリナーズは遊撃手のケテル・マルテの54試合を筆頭に、ともに移籍して不在のオースティン・ジャクソンの51試合とローガン・モリソンの20試合など、計10選手が1番打者を務めて固定できなかった。
アキレス腱であったリードオフマンで、しっかり求められる役割を果たせば、かつてのイチローの聖域は自然と青木のものとなるだろう。
ウインターミーティングというビッグイベントもこの後に控えており、トレードなどでさらなる戦力シャッフルに動く可能性も残されている。
チームからの要求は明白だ。先輩が歩んだ安打量産にこだわるよりも、三振をせずコツコツと地道に出塁を重ねていくことこそが、マリナーズ不動の1番打者への一番の近道となる。