【MLB】岩隈、ドジャース電撃契約の隠されたもう一つの理由
ドジャースが岩隈を獲得した。エースのグレインキーは失ったが、獲得の背景に球団のしたたかな戦略がみてとれる。
2015/12/08
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ドジャースが強気だった理由にQO制度の存在
ドジャースが岩隈久志との3年契約に合意したと、複数の米メディアが現地6日に伝えた。マリナーズ、ジャイアンツも交えた争奪戦となっていたが、最後はドジャースの攻勢の前に屈した。
ウインターミーティング開始前日の決着。それまでも獲得に興味を示していたドジャースだが、結果的に最後に他球団を一気にまくった格好に。電撃決着の裏には、メジャーリーグのFA交渉ならではのルールがあった。
このオフも何度か飛び交った「クオリファイング・オファー(QO)」という制度。FAとなる選手に所属球団が提示できる。
金額は大リーグ上位125選手の平均額と決まっており、今季は1580万ドル(約19億4300万円)。単年に限られる。
岩隈はマリナーズからのQOを拒否した。このQOを拒否したFA選手を別の球団が獲得した場合、来年6月のドラフト上位指名権の保証が発生する。これが各球団の戦略を左右する。
ドジャースは岩隈と合意の2日前、FAとなっていたザック・グレインキーを、争奪戦の末にダイヤモンドバックスに奪われていた。今季19勝3敗、リーグ最高の防御率1.66の右腕の流出は誤算となるはずだった。
その一方で、ドジャースからのQOを拒否していたグレインキーの移籍により、ダイヤモンドバックスからドラフト1巡目指名権を譲ってもらうことが確定していた。
同じくQOを拒否した岩隈を獲得すれば、ドジャースは1巡目指名権をマリナーズに譲ることになる。ただ、グレインキー流出によりダイヤモンドバックスから得る1巡目指名権と、結果的に相殺する形に。グレインキー争奪戦敗戦のショックなど引きずることなく、逆に岩隈への条件を上げるなど攻勢を強められた。