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【MLB】岩隈、ドジャース電撃契約の隠されたもう一つの理由

ドジャースが岩隈を獲得した。エースのグレインキーは失ったが、獲得の背景に球団のしたたかな戦略がみてとれる。

2015/12/08

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前田獲得にも動く?

 さらにドジャースは、FAとなった正二塁手のホウイ・ケンドリックにもQOを拒否されている。岩隈合意と同日に、同じく自軍からFAとなっていたベテラン二塁手のチェース・アットリーの残留交渉に合意。これでケンドリックとの再契約の芽は消え、他球団へ移籍すればその球団からも上位指名権を得ることになる。

 ここで「上位」と書いたのは、必ずしも1巡目指名権ではないため。1巡目指名でも、全体の1~10番目の「プラチナチケット」と呼ばれる最上位指名権はプロテクトされるのだ。指名順番は完全ウエーバー制で、今季順位の逆算により決められる。

 来季ドラフトでは「全米1位指名」とも呼ばれる1番目がフィリーズ。以下、レッズ、ブレーブス、ロッキーズ、ブリュワーズ、アスレチックス、マーリンズ、パドレス、タイガース、ホワイトソックスと続く。ここまでが10番目指名。これらの球団がQO拒否FA選手を獲得した場合には、2巡目指名を譲ることになる。

 例えばタイガースは、ストーブリーグ序盤から岩隈獲得に意欲的だった。1巡目指名がプロテクトされているからだ。結果的に、ナショナルズからのQOを拒否しFAとなっていた13年最多勝のジョーダン・ジマーマンと契約した。

 FA選手の能力を評価し、右左や年齢など自軍の需要に合わせるだけでなく、その背景には複雑な移籍ルールも絡んでくる。

 ポスティング移籍を目指す広島・前田健太が注目を集める理由の一つは、この制度にもある。実力的には他のQO拒否FA選手と同等と評価されながら、獲得しても上位指名権を失うことはない。

 ドジャースは岩隈獲得にとどまらず、前田にも動く構え。日本人ダブル獲りが成功すれば、2人の総年俸はグレインキーに準備していた2億ドルで十分おつりがくる。そしてトータルで考えれば、1巡目指名権がケンドリック流出の分、1つ増えることに。

 エース流出を誤算とせず、したたかに転用する皮算用にも見えてくる。

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