【MLB】マリナーズ、岩隈と再契約に至った理由。元GM特別補佐「身体検査は白黒はっきりしているものではない」
米野球WEBサイトの「ファン・グラフ」にて、マリナーズ元GM特別補佐のトニー・ブレンジーノ氏が岩隈の身体検査に関して寄稿している。
2015/12/25
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身体検査は白黒はっきりしているものではない
MLB30球団にはそれぞれ優れた医師がいる。彼らの役割は編成部に、選手の補強について口出しをしない代わりに、億を稼ぐ選手とドラフト候補の選手を隔たりなく怪我のリスクを割り出すことが求められる。編成部の責任者は医師が割り出したリスクを考慮した上で獲得を目指すのか見送るのかをオーナーに進言するのだ、とブレンジーノ氏は現場の裏側を明かし、さらに以下のように続けた。
Physicals are not black-and-white, pass-fail propositions. There’s a fine line between being “hurt” and “injured,” and an MRI can find damage in just about any shoulder or elbow. If evaluated by all 30 clubs, Hisashi Iwakuma would not have a totally clean physical from any of them. The same goes for Chris Young. It all comes down to the injury risk, in conjunction with the anticipated player production and dollar investment. “
「フィジカル(身体検査)は白黒はっきりしているものではなく、合否で主張できるものでもない。痛みと怪我の境界線は難しく、精密検査(MRI)をすれば、どの選手の肩や肘にも何かしらのダメージは見つかるのではないか。岩隈久志は30球団が調べれば、全ての球団の身体検査で全く異常なしという結果は出ないだろう。それはクリス・ヤングの場合でも一緒だ。全ては怪我のリスクの度合いと、それが予測される選手の成績と年俸に見合うかどうかだ」
結果的にロサンゼルス・ドジャースは3年4500万ドルを費やすには高すぎると判断し、再交渉が進む前にマリナーズが獲得することとなった。
岩隈抜きの構想をいち早く考え、総年俸に余裕を作り出しながら、補強を進めていたからこそ実現したと、ブレンジーノ氏はGMの働きを賞賛する。
さらに自軍の選手を知り尽くしていたからこそ、双方にとって納得のいく契約を瞬時に作り出すことができたとも指摘した。
仮に先発ローテーションの1人や2人、怪我などで離脱しても、そこを岩隈の存在で補える。逆に若手投手が成長し、怪我せずにシーズンを過ごすことができれば10月に入っても戦っていけるローテーションが整う。
岩隈獲得はチームがどちらに転んでもプラスにしかならない、として、ブレンジーノ氏は記事を締めくくった。
出典: The Iwakuma Files by Tony Blengino in Fan Graphs on December 24, 2015