ヤンキースがサッカー界へ進出――「閉鎖型」から考察するプロ野球クライマックスシリーズの意義【豊浦彰太郎のBall Game Biz!】
2015年に、アメリカのメジャーリーグサッカーにニューヨーク・ヤンキースも出資するクラブチームが参画する。その実現の裏には、アメリカ式「閉鎖型」システムがある。そして、日本プロ野球もやはり「閉鎖型」システム。その構造の中で、改めてクライマックスシリーズの位置づけを考えてみたい。
2014/11/04
サッカーとベースボールの融合『ニューヨーク・シティFC』はアメリカ式「閉鎖型」システムから誕生した
ヤンキースも出資したサッカーチーム、ニューヨーク・シティFC(以下NYCFC)が参加するメジャーリーグサッカー(以下MLS)は、クラブ数拡張に関してはアメリカ式の「閉鎖型」だ。
日本プロ野球機構(以下NPB)もMLSやメジャーリーグ・ベースボール機構(以下MLB)同様に閉鎖型である限り、多くの球団が出場枠を獲得できるポストシーズン制度は必要だろう。
サッカー不毛の地と言われ続けた北米でも、近年MLSの人気は高まりつつある。
2015年には注目クラブも参入する。
それはNYCFCで、英プレミアリーグのマンチェスター・シティ・フットボール・クラブとMLBのニューヨーク・ヤンキースの共同出資で誕生した。
当面は、あのヤンキー・スタジアムを本拠地として使用するという。
まさに、サッカーという欧州での人気No.1スポーツとアメリカンスポーツの代表であるベースボールの融合だ。
NYCFCは同時に参入するオーランド・シティSCとともに、1996年に10チームで誕生したMLSの20&21番目のクラブとなる。
MLSは欧州式に自由な新規参入を受け入れてきたのではなく、MLB式(アメリカ式と呼んでもいいだろう)のリーグ主導による計画的なエクスパンション(球団拡張)によりクラブ数を増やしてきた。
欧州が本場の競技だが、北米での展開はあくまでアメリカン・ウェイだ。
球団拡張スタイルは、欧州サッカーとMLBに代表される北米4大スポーツでは対照的だ。
前者は下位リーグとの昇格・降格システムを採用し、来る者拒まず去る者追わずの完全自由競争で、後者ではチームの数と商圏が機構により統制されており、新規参入の壁は限りなく高い。
スポーツエコノミストのアンドリュー・ジンバリストの名著『May The Best Team Win』の邦訳「60億円を投資できるMLBのからくり」の翻訳者鈴木友也氏は、その訳者前書きでそれらを「開放型」「閉鎖型」と定義している。
リーグ戦プロスポーツにおいて、どちらのスタイルを採用するかは大変重要だ。