ヤンキースがサッカー界へ進出――「閉鎖型」から考察するプロ野球クライマックスシリーズの意義【豊浦彰太郎のBall Game Biz!】
2015年に、アメリカのメジャーリーグサッカーにニューヨーク・ヤンキースも出資するクラブチームが参画する。その実現の裏には、アメリカ式「閉鎖型」システムがある。そして、日本プロ野球もやはり「閉鎖型」システム。その構造の中で、改めてクライマックスシリーズの位置づけを考えてみたい。
2014/11/04
史実は物語る。「閉鎖型」のシステムには、CSが必要
今年はプロ野球ストライキの節目の年にあたる(MLBでは20年、NPBでは10年が経った)
2004年のNPBスト(2日間だけだったが)を招いた球界再編成騒動は、コンセンサスのない合併宣言が発端だった。
当事者のオリックスや近鉄の経営者は、合併は資本主義社会での自由競争の常識と言わんばかりで、NPBは当事者同士の合意だけで簡単に離合集散することは困難な閉鎖型であることを認識していなかった。
下位リーグとの入れ替えがない閉鎖型では、戦力の均衡化を図らなければ消化試合が溢れて衰退してしまうリスクをはばむ。
MLB以上に徹底した閉鎖型のナショナル・フットボール・リーグ(以下NFL)では、サラリーキャップ制で戦力格差の拡大を抑制している。
また、収益配分制度は1920年から採用しており(MLBでは1996年から)、その頂点を決めるスーパーボウルの開催地は数年前にオーナー会議で決定している。
ほとんど「社会主義」とも評される護送船団方式だ。
話は変わるが、先日ソフトバンクが4勝1敗で阪神を下し幕を閉じた日本シリーズに、両リーグ最高勝率でセ・リーグ優勝の巨人の姿はなかった。
優勝球団が時として日本シリーズに出場できないことや、クライマックス・シリーズ(以下CS)へ出場枠が全球団の5割もあることを問題視するCS改革論や不要論はいつも燻っている。
しかし、NPBが閉鎖型である限り、ペナントレースからの脱落者の発生を限りなく遅らせ、少なくするため「間口の広い」CSは必要だと思う。
MLBはその歴史の中でも特に人気が低迷したのが60年代だった。
当時は投高打低で地味な投手戦が中心だったことなどが理由として挙げられているが、この時代はポストシーズン(ワールドシリ-ズのみ)への競争率が10倍と高く、長いペナントレースへファンの関心を引き止めるのが難しかったことも無視できない。
62年から68年は両リーグとも10球団で、計20球団中14~15球団は開幕後2カ月も経過すれば優勝の可能性が失せるのが常だった。
この事態は69年に球団数が各リーグ12に増え2地区制に移行し、リーグ優勝決定シリーズが導入されるまで続いた。
この史実も、「間口の広い」CSの必要性を物語っていると思う。