【上原浩治インタビュー#3】スプリットは僕の武器。コントロールがさらに良くなればもっと面白くなる
いよいよ2016年を迎えた。昨年はシーズン途中で怪我のため離脱したものの、ボストン・レッドソックスの守護神として活躍した上原浩治選手。当サイトでは年末年始、4回にわたりインタビューを掲載する。第3回目は強敵揃いのMLB選手をどう打ち取るのか、上原流投球術に迫った。
2016/01/02
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スプリットはやはり生命線
――スプリットが代名詞のように言われますが、ストレートで入っていくことも多いです。スプリットの日米の反応の違いは感じますか?
上原 それは感じないです。日本でも正直、二つの球種でやっていたような感じだったんでね。ただ、アメリカの場合は、捕手がコースを構えないんですよ。構えてくれってお願いしているんですけど、ボールが投げやすいというのもあります。でも特に、何かを変えているというのはないです。
――でも、メジャーは日本よりも、チェンジアップ文化であるように感じます。相手の反応とか、日本より打ちづらそうにしているとかは感じませんか?
上原 どうでしょう。最近は、スプリットを投げる投手は増えましたから、何とも言えないです。ただ、僕がここまでやれているのはスプリットが通用しているからというのがもちろんあります。それがなかったら、ここまでやれていることはないと思います。
――ヤンキースの田中将大投手が右ひじのケガをしたときに、スプリットが原因だとよく言われましたが、そういった意見に対してご自身はどう思われますか?
上原 僕は関係ないと思います。そんなことをいったら、誰も投げなくなるわけじゃないですか。ひじを手術している人たちの中には、スプリットを投げていない人もいる。原因をそこと決めてしまうのはどうかなと思います。
――スプリットを投げる投手として気を付けていることは?
上原 毎日のケアですね。特に試合が終わってからはケアやトレーニングをやっていますので、やはり日々の積み重ねが大事になります。
――個人的にですが、アウトローに決まる真っすぐが好きです。
上原 でも、向こうは届くんですよ(笑)。リーチが長いんで。今はアウトローの時代じゃないです。「困ったらアウトロー」ではないです。
――ただ、ピッチングは隙間を埋めていく感じではないですよね。真っ向からのイメージがあります。
上原 そこは気持ちの表れでしょうね。そこで負けたらと思っています。速い真っすぐを投げるわけでもないですから、140キロでどうやって抑えるか考えたら、気持ちしかないです。
――コントロールに関しても、向こうでも通用していますか?
上原 でも、100%じゃないです。構えたところに必ず投げられるといったら、そうではない。どうしても中に入ったり、外に逃げたりする。もっともっとよくなれば、もっと面白くなると思っています。
――では、ボールをコントロールするには一番大事なことはありますか?
上原 指先の感覚が大事ですけど、普段のキャッチボールからどう意識しているかのほうが大事じゃないでしょうか。どこでボールを離したら、どこに行くかというのかがわかれば、コントロールはつくと思う。何球も練習してやることが大事であると思いますね。