止まらぬMLBスカウトの解雇。セイバーメトリクス重視のチーム編成が背景に
「マネーボール」をきっかけに従来のスカウティングから野球界はデータ分析を含めたセイバーメトリクスを重視する時代に突入した。そのため長年野球界でスカウトとして務めていた人材が多く行き場を失っている。
2016/01/16
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代わりゆくMLB球団のGM像
2015年のオフシーズンは更にスカウト離れをしたGMや人材の入れ替えが目立った。
ミルウォーキー・ブリュワーズは30歳のデビット・スターンズを63歳のダグ・メルベンと交代してGM職に就任させた。フィルディルフィア・フィリーズは23歳のルイス・ポリスを野球リサーチ&育成のアナリストに抜擢した。
2015年8月以降では10人の新GMが就任したが、そのうち45歳以上だったのはデトロイト・タイガースのアル・アビラとシアトル・マリナーズのジェリー・ディポートだけだ。
一方で、2015年シーズンまでトロント・ブルージェイズのGMを務めていたアレックス・アンソポロスのように従来のスカウティングを大切にする人間もいる。
GMを務めていた6年間ではどの球団よりもスカウトを雇い、1993年以来のプレーオフ進出を決めたチームの文化を作り上げたのはスカウトたちの眼力によるものだと、スカウト陣を称えていた。
“The best moves we made were the ones we didn’t make because of the information we got from our scouts. Sure, you look at the analytic side, but you’re talking about the human side, too. We looked at plenty of guys who could help us, but our scouts would give us information, letting us know that they wouldn’t fit into this group or dynamic that we had here. This game is so competitive, you need to get every ounce of information you can to try to separate yourself, and our scouts played such a big part in our success.’
「我々の1番良かった選手獲得の動きはスカウトたちによる情報で踏みとどまる決断ができたことだ。もちろんデータ分析も考慮するが、人間味の部分も考えなくてはいけない。我々のチームの手助けになる可能性のある選手を多く検討したが、スカウトたちによる情報で、その選手がチームの一員としてフィットする難しさや作り上げたチームの動力になり辛い要因を教えてくれた。とても競争力の高いゲームであり、自分たちが飛び抜けるためにはどんな情報でも手に入れることが必要であり、我々の成功にはスカウトたちの力が欠かせなかった」
先日アンソポロス氏はロサンゼルス・ドジャースのフロントに招聘された。
これまでのスカウティングとデータ分析を駆使したセイバーメトリクスの融合こそ理想な形ではあるだろうが、シカゴ・ホワイトソックスのGM特別補佐を務めるデーブ・ヨーカム氏の言うとおり、「このビジネスで生きていくには恐ろしい時代」に突入したと言ってもいいだろう。
出典: For MLB scouts, it’s getting harder to avoid force-out by Bob Nightengale in USA Today on January 14, 2016