リベラ、ネーサンに続く快挙。上原浩治が2年総額20億、40代のリリーフ投手として高額契約を勝ち取れた理由
10月30日、レッドソックスは上原浩治と新たに2年、契約を延長することを発表した。40代の選手への高額契約に、レッドソックスが上原に対していかに高く評価しているかがわかる。
2014/11/03
Getty Imasges
契約内容が、上原に対する信頼度を物語る
電光石火だった。ワールドシリーズが終了したその翌日。現地10月30日の、何と午前6時すぎだった。レッドソックスは球団公式ツイッターで、上原浩治投手と新たに2シーズン契約を延長したと発表した。
2年総額1800万ドル(約20億1600万円)。来季開幕直前に40歳を迎える右腕の、40、41歳での2シーズンに、それぞれ10億円以上の年俸を用意した。
破格の条件だけでなく、この早期決着が球団内での上原への高い評価を裏付けた。
大リーグでは、ワールドシリーズ期間中には、人事ものなどストーブリーグのネタを発表しない、という暗黙の紳士協定がある。メディアの報道に割り込み、ワールドシリーズの扱いを邪魔しない。30球団の頂点を争う2球団への、敬意を払ったものだ。
上原のように契約最終年で、FAを控えた選手は、ワールドシリーズ終了翌日のFA資格選手公示から5日間は、所属球団に独占交渉期間が与えられる。だが、その5日間さえも必要としてはいなかった。実際はワールドシリーズ終了前には契約は完了しており、発表をこのタイミングまで待ったということなのだろう。
契約発表の丸1年前。13年10月30日の第6戦で上原が最後のアウトを奪い、ワールドチャンピオンに輝いたレッドソックスは、今季は71勝91敗でまさかの地区最下位に沈んだ。
再建を目指すベン・チェリントンGMは「この2年間の彼の働きは素晴らしかった。これは我々のオフシーズンの重要な一歩目だ。これでこのオフは、優位に進められると思う」と契約延長への会心の手応えを口にした。
8月中盤から9月序盤にかけて、腰痛の影響などもあり極度のスランプに陥ったものの、その1カ月弱を除けば、今季も上原は完璧そのものだった。
レッドソックスに加入した13年からの2シーズンでの防御率1.75は、85投球回以上の投手では球団史上最高の数字。同じ期間で見れば全30球団の救援投手の中でも、ウェド・デービス(ロイヤルズ)の同0.99に次ぐ2位にランクする。この間のWhip0.73は、全救援投手中で最高の数字だ。