【MLB】「メディア」に揉まれ結果を残してきたヤンキース・田中。勝負の3年目、エースの自覚
メジャー3年目を迎える田中。過去2年は年間一度もローテーションを守れていない。3年目、エースとして全うすることができるか。
2016/01/25
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指揮官も期待
田中将大という男はとても賢く、そして人一倍に負けず嫌いの性格の持ち主だ。
自分が置かれた状況を冷静に分析し、どうやって対処していくべきかを判断することができる。その大きな原動力となっている要素の1つが「対メディア」。このメジャー2年間は世界でも有数と言われる手厳しいニューヨークメディアから散々揉まれてきた。
7年総額1億5500万ドルの巨額契約を結んだことでニューヨーカーの田中に対する要求は厳しい。賞賛されたかと思えば、今度は一転して凄まじいバッシングの嵐――という具合にほんの少しでもほころびが見え隠れすれば登板ごとで寸評がコロコロ変わる。内心穏やかであるはずがなかったことは誰でも容易に想像がつく。それでも田中はグッとこらえると同時に平静さを貫いてメディアと向き合い、本音の部分を怒りのエネルギーに変えて「必ず見返してやる」とマウンドにぶつけてきた。
今年は勝負の3年目。地元メディアを含めたニューヨーカー、そして自らも納得できるような結果を絶対に残さなければいけない。それが今まで以上の「エースの自覚」を呼び起こす点に結びついているのだと思う。
ちなみに、こうしたエース・田中の心意気を感じ取っているかのようにヤンキースのジョー・ジラルディ監督が米スポーツ専門局・ESPNで次のように発言している。今月17日(日本時間同18日)に放送された同局の『BASEBALL TONIGHT』でインタビューアから「田中のヒジは大丈夫と思っているのか」と問われた答えた時のコメントだ。
「もちろんだ。この世界に100パーセントというものは存在しない。でも我々はタナカを信頼している。私自身も彼の投球を見ることが、いつも非常に楽しみなんだ。彼のマウンドを見ていると、いい意味で『何か』をやってくれるのではないかという期待を常に持たせてくれる。そして2016年のシーズンはさらに大きなことをやってくれる予感もするね」
最後のところでは少し含み笑いを見せていた指揮官だが、その意味深な言葉の「大きなこと」とはもしかすると「サイ・ヤング賞」を指しているのかもしれない。いずれにせよピンストライプのエース・田中には今季、万人をうならせる結果が求められている。