【MLB】暗黙のルールにメス、今季より殺人スライディング一部制限へ。過去に岩村や西岡、姜らが犠牲
ESPNの名物記者が「二塁へのスライディングに関する新ルールが、労使間で合意間近」と報じた。
2016/02/10
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新ルール設定とビデオ判定導入の因果関係
かつて同様の殺人スライディングで大ケガを負った日本人選手もいる。レイズ時代の岩村明憲と、ツインズ時代の西岡剛の2人だ。
岩村は09年に塁上の交錯で前十字靱帯を部分断裂。後のキャリアを見ると、このケガで選手生命の大半を断たれたと言ってもいい。
西岡も大事なメジャー1年目の開幕直後に、同様のプレーで腓骨を骨折。出鼻をくじかれ、そのままメジャーの舞台で満足なパフォーマンスを発揮することは一度もなかった。
殺人スライディングの餌食になるのは米国野球に慣れ親しんでいないアジア人が多い、というのがかつての見方だった。姜正浩でさえ負傷後に「走者が故意にケガさせようとしたわけじゃない」とコメントしたほどだった。
それが今回新ルール設定につながったことには、いくつかの理由がある。
プレーオフの地区シリーズという注目度の高い試合だったこと。ビデオ判定が導入され、様々な角度からプレーの検証が可能になったこと。それにより、どの角度から見ても走者は二塁ベースからかけ離れた場所へ滑っていることが明らかになったこと。そして、その走者がクリーンなイメージが強かったベテランスター選手のアットリーであったこと。
進歩か、後退なのか。長くメジャーに親しんできた関係者ほど意見は様々で、それを一概に言い切るのは難しい。でも、ベースボールの歩みが止まることはない。
日本も数年後は議論の対象に
日本野球では今季から本塁でのブロック禁止ルールが導入された。これは大リーグでは2年目に導入されたものだ。本塁打のビデオ判定も、常にメジャーの後を追ってきた。
二塁への殺人スライディングは、前述の通り日本球界ではあまり激しく行われていないから同様の流れとなるかは分からない。それでもメジャーで新ルールが導入されれば、数年遅れでいずれかの形で議論の場に挙がることはあるだろう。