【アメリカの眼】評価厳しい前田に期待の声。「進境著しいチェンジアップ」駆使すれば、エースに次ぐ存在に
「ローテーション4、5番手クラス」との評価が少なくない前田健太だが、セイバー系サイト『ファングラフズ』は「チェンジアップの進境が著しく、エースに次ぐ存在にもなりえる」と評している。
2016/02/16
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アメリカの評価は辛いものが多いが
もうじきスプリングトレーニングが始まる。
今季の見どころの一つがドジャースに移籍した前田健太の活躍だ。球団にとってリスクを回避した長期契約が話題となったが、実際、1年目からどれくらい通用するのだろうか?
アメリカの専門家の間での前田への評判はおおむね「先発ローテーションのしんがり」(Back-end starter)だ。「しんがり」は4~5番手を意味する。エース級のような圧倒的な投球ではなく、「そこそこ試合を作れる」ことがこのクラスの投手に求められている。
2度にわたる沢村賞受賞をはじめとする日本での実績からするとやや辛すぎる評価にも思えるが、これは小柄で華奢な体格であることや、速球に威力が欠けること、絶対的な決め球を持っていないことへの懸念の現れだ。
しかし、セイバーサイトの『ファングラフズ』は一般的な評判より前田はもっとやれるのでは?と評している。その根拠として、同サイトは「進境著しいチェンジアップ」を挙げている。
Eno Sarris profiled Maeda back in November, noting that Maeda is certainly a step or two below countrymen Yu Darvish and Masahiro Tanaka, especially with regards to the strikeout rates those pitchers posted in Japan.
イノー・サリスは昨年11月に、前田は確実にダルビッシュ有や田中将大より一歩も二歩も劣る存在だと評価した。特に日本での奪三振率に関してはそうだ、というのだ。
サリスは『ファングラフズ』の主要記者の1人だ。
セイバーメトリクスにおいては、奪三振率(9イニングあたりの奪三振数)は投手の実力を示すもっとも重要な指標の一つと捉えられている。ちなみに前田の日本での8年間の実績は7.4で、ダルビッシュは8.9、田中は8.5だ。
実際、前田は剛速球タイプではない。
同サイトは速球の速度はおよそ90-93マイル(145-150キロ)と報じており、これはメジャーでは平均的レベルでしかない。しかし、彼の制球力は高く評価している。前田の日本での与四球率(1.9)は、アメリカでも制球力の良さで知られる黒田博樹や岩隈久志の渡米前の実績(それぞれ、2.3と2.0)よりも優れていることも紹介されている。
それでも多くのスカウトが「ローテのしんがりレベル」と評している。
これは、前田の変化の大きなスライダーは高く評価しつつも、この球種へやや依存しすぎる傾向があり、決め球と呼べるほどの球種がないことが理由だという。