【アメリカの眼】「一人の人間として、父親として」アルコール依存症と向き合うヤンキース田中のチームメイト
田中将大とチームメイトのC.C.サバシアがアルコール依存症から脱却しようと向き合っている。そんなサバシアに対して、周囲は温かく見守っている。
2016/02/19
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アルコールとコカインの中毒症から立ち直ったハミルトン
球界の大スターであった清原和博の逮捕、そして90年代のオリックス2連覇に貢献した野村貴仁の現在の姿。プロ野球ファンでなくとも、その事実に衝撃を受けたのは記憶に新しい。
光が当たれば当たるほど、そこには濃い影ができる。周囲からの過度の重圧、期待、チーム内での人間関係、家族、そして引退後の人生に対する不安。
一流のアスリートたちはグラウンドで光り輝く一方で、その代償とも言える『負の側面』と向き合わねばならない。
ダルビッシュの同僚でもあり、テキサス・レンジャーズに所属するジョシュ・ハミルトン。彼がかつて、重度のコカイン中毒となったのは有名な話だ。高校時代から『10年に一人の天才』と評され、1999年のドラフト全米1位指名でプロ入り。しかしながら、大きな期待を重圧に感じた結果、アルコールとコカインの依存症に陥ってしまった。
全身26カ所に入れ墨を入れるなど、廃人寸前まで堕ちてしまったハミルトンだが、周囲の支えもあり何とか復帰。まだまだ不安定な面はあるものの、ハミルトンのサクセスストーリーは、全米中に勇気を与えた。
田中将大とともに、ヤンキースのローテーションを支えるC.C.サバシアも、今まさに依存症と闘っている一人だ。通算214勝、オールスター出場6回、最多勝2回、サイヤング賞1回。数々の輝かしい実績を誇る左腕は昨年、アルコール中毒であることを自ら告白。リハビリ施設に入所した。
2009年にヤンキースに加入後、常勝軍団のエースとして活躍したサバシア。しかし、30代を迎えたあたりから、下半身の故障を頻発。それに伴い、球威や変化球の切れが著しく低下し、打ちこまれるケースが目立つようになってきた。
ニューヨーク・ヤンキースといえば、世界一有名な野球チームであり、伝統と格式を重んじるエリート集団だ。観客動員数は毎年300万人を軽く超える超人気球団。さらにはニューヨークのメディアは手厳しいことでも有名だ。巨額契約を結んでいながらも、満足な成績を残せていないサバシアに対し、連日バッシングの嵐であったのは言うまでもない。