岩隈や前田にとどまらず、MLBで高まる身体検査への厳しい目。球団ごとに基準が曖昧と指摘も
2015年オフ、岩隈・前田の移籍時にメディアでにぎわせたのが身体検査という言葉。年々この身体検査が厳しくなり、契約や移籍に影響している。
2016/02/21
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判断基準は球団ごとに異なる現状
求めている役割の違いもあるのだろう。ヤンキースの場合は、キャンプは間に合わなくても、開幕直後からブルペンの柱として馬車馬のように投げてくれることを期待したのかもしれない。
ドジャースとの破談後、岩隈との再契約にこぎつけたマリナーズのジェリー・ディポートGMは「健康面は心配していない。昨季終盤も先発の仕事をこなしていた」と会見で胸張っていた。
これだけ判断基準がバラバラだと、A球団はOK、B球団はNG、C球団は2年目以降の契約はオプションならば、とフィジカルチェックの結果を受けて契約条件は変わってくる。
契約合意後、正式契約を結ぶ前の身体検査は90年代後半から大リーグ機構によって義務付けられてきた。それを前倒しし、FA申請と同時に検査書類を提出させる案も根強く議論されている。
そもそも大リーグ30球団は、故障者を減らすため10年に全選手のメディカル情報をオンラインで共有することに合意し、実施されている。それでも直前のプレー状況やオフの過ごし方などで、一転破談が続くほどの「差」が生まれてしまっているのが現状だ。
特に故障者が相次ぐ日本人投手に求められる健康基準は、今後も高いものとなるだろう。岩隈、前田のケースは、一つの警鐘でもある。大リーグ全体で高まるフィジカルチェックへの厳しい目は、これから海を渡る日本人選手には高く険しいハードルとなる。