【MLB】リハビリ順調のダルビッシュ。復帰時期は5月に変更なしも、異例の投球制限撤廃か
トミー・ジョン手術から復帰を目指すダルビッシュ有。リハビリは順調に進んでいる。
2016/03/22
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後半戦のキーマンに
状態の良さが際立ち、ダルビッシュ本人もそれを実感している。ペースを抑えるのに必死。そんな投手コーチの連日のやり取りと言葉だが、陣営の中で一つ変わりつつあるものがある。
当初の想定通り、5月下旬から6月初旬にかけてメジャー復帰を果たした場合、レギュラーシーズンの登板試合は多くても20試合前後と見込まれる。1試合6イニングだったとしても、年間投球回は120イニングにとどまる。
「ポストシーズンでの登板を足しても150イニングを超すことはないだろう。ならば制限を加える必要はないと思う」と同コーチは復帰後の球数制限などの撤廃へ言及してみせた。
全治1年以上のトミー・ジョン手術は、復帰までのリハビリ過程はもちろん、復帰後1シーズン目の投球内容もその後のキャリアに大きく関わってくる。
イニング数か球数か、はたまた中4日は連続させず何度までといった登板間隔か。何らかの投球制限を設けるのが一般的だ。
昨年は同手術から復帰1シーズン目のメッツのマット・ハービーがポストシーズン直前に制限イニング数に達してしまい、ポストシーズンで投げるべきか否かが広く議論された。
復帰時期は前倒ししない代わりに、復帰後はブレーキを踏むつもりはない。闘志をたぎらせる荒牛がひとたび野に放たれたら、後は全力で突き進んでもらうだけという考え方だ。
チームは昨年、ダルビッシュ抜きで下馬評を覆し地区優勝を飾った。昨年7月にフィリーズからコール・ハメルズが加わり、ここ数年故障がちだったデレク・ホランドやコルビー・ルイスの状態も悪くない。頂点を目指す戦力が整いつつあり、夏場からのジョーカー(切り札)となるのがダルビッシュだ。
「復帰を早めて、投球制限が気になるようでは本末転倒だろう。終盤の勝負所のチームをどうすればいいんだい?」とブロケイル投手コーチ。自身も2度のトミー・ジョン手術を乗り越え、通算600試合以上登板した苦労人が浮かべた笑みは、不敵に映った。