【MLB】異常気象に苦戦、直球を捨てたヤンキース田中。エースは「寒さ」を克服できるか
2年連続開幕投手を務めたヤンキース・田中将大に勝ち負けは付かず。天候に苦しみながら最低限の仕事を果たした。
2016/04/07
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13年ぶりの異常気象に苦戦
何とも判断の難しい今季初登板となった。ヤンキース・田中将大は2年連続開幕投手として5日のアストロズ戦に先発。5回2/3を4安打2失点で降板し、勝ち負けは付かず。その後、救援陣が勝ち越しを許したチームは黒星発進となった。
悪条件が重なりすぎた。前日に予定された開幕戦が雨天中止で順延されスライド登板。迎えた5日は快晴ながら、開始時の気温は2度。これはヤンキースタジアムのレギュラーシーズンでは、2003年4月8日のツインズ戦以来の寒さ。始球式を務めた松井秀喜氏が、満塁本塁打で衝撃の本拠地デビューを飾った一戦だ。
その時以来13年ぶりというから、異常気象だとよく分かる。さらに横風が吹き付け、体感気温はそれ以下とも言えた。
田中は自身の公式サイト上で、特殊な環境下での登板だったと振り返っている。
「ほぼフォーシームは投げてないですね。基本的には全部ツーシームで組み立てました」
まず直球(フォーシーム)を捨てた。速球の軸としたのはツーシーム。テレビ画面越しにも、右打者の内角へシュート回転するような軌道を何度も描くツーシームに、驚いた視聴者も多かったはずだ。
「これだけの気候ではなかなか細かいコントロールをつけるのが難しかったので、それだったら動いてくれたほうが相手も打ちづらいかなと」
「風の影響ももちろんあったと思います。一塁側から三塁側に吹いていたので」
球速のMAXは91マイル(約146km)。速球の平均球速は88マイル(約142km)だった。数字だけ捉えれば物足りなさが募る。ただ直球(フォーシーム)は投げておらず、球速が若干落ちるツーシームのみ。そして、横風の影響も受け本当によく動いていた。
「効果的に使えたんじゃないかと思います」と田中も振り返っている。
投げ合った昨季20勝でサイ・ヤング賞に輝いた左腕ダラス・カイケルの投球にも、環境の難しさが見て取れた。精密機械のような制球力が武器だが、3回までに4四球。「寒すぎて指先の感覚を維持するのが難しかった。野球をやる気候じゃないね」と不満を隠さなかった。