【アメリカ人記者の眼】今年も田澤酷使は変わらず。過度な依存がレッドソックス自滅を招く
レッドソックスの田澤純一は、今年も開幕からフル回転だ。しかし、この田澤頼みの戦略を変えない限り、レッドソックスの浮上はありえない。
2016/04/10
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田澤「自分の役割を果たすだけ」
その後最終日も雨で順延となり、チームは、アリーグ東地区最強チーム、ブルージェイズ戦に向けて、トロントへ飛んだ。
田澤はブ軍打線とは相性が悪い。通算成績を見ると、ブ軍に対する被OPSは1.105、防御率は7.36、WHIPは1.792と、チーム投手陣の中でもっとも成績が悪い。そして敵地ロジャーズセンターにも苦戦しており、田澤はこの球場では、5本塁打を許すなど、ここまで防御率5.91、WHIP1.594なのだ。
だからこそ、ファレル監督が1点リードの7回に再び起用したのには驚いた。だが田澤はそこで、圧巻の投球を披露したのだ。
ソーンダースを左翼への飛球で打ち取ると、マーティンを空振り三振に抑え、ゴインズを二塁ゴロで締めた。リードを保ち、チームの勝利につなげた。この日の勝利投手は田澤ではなくバーンズになったものの、ブルペン陣の中では1戦前に敗戦投手となり、そして過去ブルージェイズを苦手としてきた田澤の投球内容は際立っていた。試合後に、彼はこう語っている。
「みなさん(報道陣)が僕が苦戦していると書けば書くほど、僕自体はそのことを気にしなくなりました。ここで最後に登板したときは引き分けだったですし、今回はコントロールよく投げられた。今回再びここでチャンスがもらえて感謝していますし、いい結果が出せてうれしく思っています」
さらに田澤は、今回のチームの勝利に関して「価値のある勝利でした。僕自身、今後も自分の役割を果たして勝利に貢献してるように頑張りたいです」
彼が自分の役割を果たすことこそが、レッドソックスの勝利を握るともいえる。だが、彼に頼れば頼るほど、チームが自滅に追い込まれることも明白だ。
チームは田澤に頼りすぎている。他の選択肢を持たないレッドソックスは、彼にすがるしかないのが現状だが、シーズン終盤の重要な時期に彼を起用するつもりならば、今すぐ田澤頼みの現在のスタイルを脱却すべきだろう。