通算打率.310割れ寸前。3000本安打を目指すイチローに迫る“タイムリミット” 【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回はイチローの生涯打率についてだ。
2016/04/12
通算打率ランキングは現在8位
1965年以降、5000打数以上の選手の通算打率ランキング(Fangraphsなどを参照した)を作成した。3割以上が対象だ。
かつて2位だったイチローは、今は8位に落ちている。
強打の外野手として覇を競ったウラディミール・ゲレーロ、現役選手の通算打率を争ったトッド・ヘルトンよりも下になった。
現役では元三冠王のミゲル・カブレラに次いで2位だが、わずかな差でジョー・マウアー、MLBデビュー同期のアルバート・プホルスなどが続いている。
今季、イチローが65安打するとして、打率が.250なら260打数を要することになる。
通算打率は、9363打数3000安打の.31175。ランキングは14位まで下がる(現役のマウアー、プホルスも打率は下り坂なので、12位の可能性もある)。
この低打率のまま現役を続行すれば、来年には.310を割り込むことになる。
プライベートでも親交がありライバルだったデレク・ジーターは、現役時代の打率はイチローが圧倒していた。しかし、そのジーターの通算打率.310をも下回ることになる。
前述のとおり、イチローは野球殿堂入りが確実視されている。
MLB新人最多シーズン242安打、MLBシーズン通算262安打、10年連続3割200安打、これらはすべてMLB記録だ。
それに加え「レーザービーム」と言われた驚異的な肩と、守備範囲の広さは、10年連続のオールスター選出。
イチローは人気でも、実力でも圧倒的な存在だったことがよくわかる数字だ。
それだけに、引き際も大事になってくるだろう。それを考えるうえで生涯打率も、参考になるのではないだろうか。