オーストラリアの国内リーグもMLB傘下に――国際化戦略を推し進めるMLB【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。第19回目は、一番MLB選手を輩出している国はどこか、MLBの国勢調査を行ってみた。
2014/11/18
アジア出身は投手が圧倒的に多い
北米、カナダにはMLB球団のトロント・ブルージェイズがある。かつては大家友和や、吉井理人が在籍したモントリオール・エクスポスも存在したが、経営的に破たんし、今はワシントン・ナショナルズになっている。
そのせいもあってか、カナダでの野球人気は下火のようで人数は少ない。日米野球に来日しているジャスティン・モーノーが代表選手だ。
メキシコにはメキシカン・リーグというプロリーグがある。MLB傘下でAAAのランクとされているが運営は独自に行われている。しかしメキシコからの人材も多くはない。
アジア、オセアニアでは日本の12人が最多。台湾、韓国の選手は一時期に比べて減った。オーストラリアはトップリーグがMLB傘下に入ったため、今後、選手が増えてくると予想される。
ヨーロッパはプロ野球リーグが誕生しているものの、人材輩出は微々たるものだ。昨年までジョシュ・レディックというイタリアの野手が活躍していたが、今年はMLBに上がれず。市場は未開拓だ。
こうしてみていくと、地域によって野手、投手の比率が違うことがわかる。
中南米の国々は野手、投手が五分五分か野手のほうが多い。一方、アジアは投手が圧倒的に多いのも面白い。
これは、その国の野球のスタイルを反映しているのだろう。
MLBは今後も世界戦略を展開するだろう。試合中継では、さらに多くの国の選手を見ることができるはず。お国柄によって違う「野球文化」を知るのもMLB観戦の楽しみの一つだ。