【レ軍番米国人記者の眼】先発陣復調で、次の課題はファレル監督の田澤・上原の起用法
レッドソックスのブルペン陣を支える上原浩治と田澤純一にとって、4月は辛い時期になった。先発陣の状態がなかなか上がらず、ハイペースに登板を重ねた。しかし、ここに来てようやく改善されつつある。
2016/04/29
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正捕手が復帰、先発陣も復調傾向
そんな中、気温が必ず上昇し、季節が確実に巡るように上原と田澤の今後も、明るい見通しが訪れつつある。
流れを変えてくれそうな出来事として、まず正捕手のクリスチャン・バスケスがケガから復帰した。これにより、先発ローテーションが勢いを取り戻し始めた。先発陣に強さと層の深みが増してくれば、つまり田澤と上原を温存する環境も整いつつあるということになる。
今後、チームの次の課題は、中継ぎ陣をいかに程よく起用し続けられるかだ。ジョン・ファレル監督に限らず、どの球団でも難しい問題ではあるが、特にレッドソックスは先発ローテーションがみな無様な開幕を迎えてしまっただけに、想定以上に先発以外の誰かに頼るしか、生き延びる道がなかった。
その環境下で、ファレル監督が最も頼りにしてきたのが、田澤と上原だった。
この経験から、ファレル監督が何かを学んだと信じたい。そして今、先発陣が、彼に今後の采配方法を導いてくれるはずだ。
まずはデビッド・プライスが、その後リック・ポーセロ、スティーブン・ライトらが強さと安定を取り戻してくれた。
あとはファレル監督が今後2人を程よく起用し、ダグアウトからブルペンにつながる電話を、緊急事態のように取り上げることがなくなれば、残り5カ月のレッドソックスの戦いも、期待できるだろう。
田澤も上原も、もっと温存して起用すべき貴重な人材だ。4月のレッドソックスには、こんな当たり前の話題がニュースとして取り上げられる事態に陥っていた。
もちろん、田澤も上原もMLBでプレーするピッチャーだ。過度に甘やかせと言っているのではない。だが、同時に酷使すればいいわけでもない。
そのことをレッドソックスは今になってやっと、気づいたようだ。チームも強さを増し、田澤と上原にとって良い流れへ変わりつつある。
選手たちが半袖のユニフォームに腕を通す頃には、ニューイングランドにもレッドソックスのクラブハウスにも、心地よい風が吹いていることだろう。