大谷翔平の元通訳・水原一平氏の事件から見えてきたのは…? プロスポーツと違法賭博の関係性を考える【第1回】
2024/03/28
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プロスポーツのコンプライアンス・ガバナンスについて
アメリカでは日常生活に、賭博が溶け込んでいる。だから、容易に関わりやすいのが現状である。ただ、その身近な存在は、中毒性のあること、経済的な影響が大きくなること、社会的にも影響が大きくなりやすい、
そして犯罪行為に最接近することを考慮すれば、避けることが望ましい。自制心をもってできるならば問題ないが、この問題はたびたびクローズアップされているし、特にスター選手がこれにかかわることは、イメージの損失が大きい。
選手たちが競技以外のことに対して、知識がない前提で、何がいけなくて、何がゆるされるのか、特にアクセスしてはいけないことは何か、判断に迷った時に、相談するのはクレジットのついた、第三機関であろう。決して知り合いやなじみの通訳や友人ではない。その第三機関の設置義務付けはMLBや各チームが行う必要があり、公私混同の慢性化を断ち切る必要がある。
人物の身辺調査として、逮捕歴や通院歴など、調べるのはもとより、交友関係などもしっかり調査すべきだった。チームとそれに関わる関係者(ステークホルダー)には継続して監視できるように、やはり第三機関に権限を与えておくべきだ。
問題はその際に選手らのプライバシーとの垣根をどうするかである。今回の事件のようにおそらくプライべートの中で、選手と関係者が現金に関して授受があるのか、その対象が違法賭博に関することであり、この辺まで踏み込んで監視するのは現実としては難しい。しかし、先述の人物の裏付けと、これだけの大金が絡んでいる中で、事前になんらかの情報は「その筋」から入ってきていたのではないかと推察される。
今回は、元通訳の話が先行して、当の「被害者」であるはずの大谷選手が後追いの状態になっている。そうではなく、情報をつかんだ時点で、関係者にどういう対応をさせるか、チームでの対応、MLBなど機構としての対応、捜査機関への届、プレスでの発表をシステマティックに事前にリスク対応として決めておく必要がある。また、これには訓練を定期的におこなっておくべきだろう。