【MLB】ドジャース前田、リーグ6位のボールスイング率。優れた球種と制球力が好投を支える要因
好投を続けているドジャースの前田。数字からも安定感が証明されている。
2016/05/09
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大半の持ち球に有効性を示す数字
ドジャースの前田健太が快投を続けている。6登板を終えた5月6日時点の防御率1.66はリーグ6位。エースのクレイトン・カーショウ(1.96)より一つ上にいる。昨シーズンはカーショウと二枚看板を形成していたザック・グレインキー(ダイヤモンドバックス)が防御率5.15だけに、前田の好成績はいっそう際立つ。
クオリティ・スタートは6先発中5試合を数える。4月28日のマーリンズ戦は6.2回を投げて自責点4だったが、引き継いだ投手が抑えていれば自責点2で済み、こちらもクオリティ・スタートになっていた。
5月6日のブルージェイズ戦では、曲がらなかったスライダーをスタンドへ運ばれ、ストライクなしの与四球も2度あったものの、全体としてはここまで制球良く投げ、ストライクゾーンから外れた球を多く振らせている。
『FANGRAPHS』が掲載するPITCHf/xのデータによると、ボール球スイング率はリーグ6位の34.0%だ。空振りも少なくなく、コンタクト率72.9%(ゾーンの内外を問わず)はリーグで5番目に低い。
これらを実現している要因は、前田の持ち球にある。
投球割合は、フォーシームが23.2%、ツーシームが16.3%、スライダーが36.8%、カーブが15.4%、チェンジアップが8.3%。球速と変化に違いをつけたスライダーを多投し、チェンジアップはほぼ左打者にしか使っていない。
5球種のうち、カーブ以外は、その球種を100球投げた場合の有効性でプラスを記録している。この数値は、他の投手たちと比べて平均なら0.00、優れていればプラス、劣っているとマイナスになる。
4球種それぞれの数値は、フォーシームが1.52、ツーシームが1.28、スライダーが2.96、チェンジアップが3.19。いずれも10位以内にランクインしている。相乗効果もあるだろうが、これだけ優れた球種を持っていれば、ある球種の調子が悪い日も残りの球種で投球を組み立てられる。
カーブの数値は-1.92だが、こちらも心配する必要はあるまい。早いカウントで投げることが多く、ストライクを取るには有効だ。他4球種の球速がいずれも平均80マイル台であるのに対し、カーブは唯一70マイル台なので、緩急の緩としても機能する。