【MLB】ハンバーガーリーグから脱却? フィリーズ、約1億円の投資でマイナーチームの食環境改善へ
マイナーリーグは通称ハンバーガーリーグ。そしてメジャーリーグはステーキリーグとその食生活の格差が野球界の伝統となっていた。フィラデルフィア・フィリーズの「食」に対する新たな取り組みにより、新たな文化が生まれるか。
2016/05/08
選手育成にも大切な「食」の重要性
マット・クレンタクGMは就任以降、職員に対して組織全体の在り方を問うていた。
“Few teams do it, but supplying the minor-leaguers with healthier food made too much sense. Poor nutrition can beget weight gain or inadequate physical conditioning. It can lead to more injuries.”
「多くのチームが着手していない面ではあるが、マイナーリーガーへ正しい食生活を提供するのは理にかなっていたことだった。食生活が乱れてしまうと、体重の増加や不十分な健康状態へと繋がってしまう可能性がある。より怪我をしやすい状況を作ってしまう恐れもある」
フィリーズは主にメジャー在籍選手と仕事をしていた栄養士の役割も組織全体へと拡大した。
ライスアシスタントGMはその理由について、「若い選手たちにも(正しい食生活の)価値を植え付けたかった。一部の選手にとっては、新たに順応しなくてはいけないことになるだろう。彼らがメジャーへ昇格する頃には健康的な習慣を身につけていてほしい」と語った。
レイクウッド・ブルーコローズを例にあげると、在籍選手の年齢平均は22歳。そして選手の多くが約月16万円の給料で5カ月間プレーしている。そのうち高校、大学を卒業したばかりの選手もしくは外国からやってきた者でチームは構成されている。そんな彼らに与えられる食費(ミールマネー)は約2600円だ。遠征先では移動手段も限られてしまい、チームが提供するバスも球場からホテルの往復のみである。
現在ブルークローズの監督を務めるのは、7年間マイナーリーガーとして現役時代を送ったショーン・ウィリアムズだ。「現役時代は手がつけられるものであれば、なんでも口にしていた」と話している。それはほとんどの場合、ファーストフードを意味する。それでもウィリアムズ監督は、毎シーズン約2.2kgから4.5kg体重が落ちていたという。それは摂取量よりも消費量のほうが多かったからだ。
選手たちはこの新たな取り組みを大歓迎している。