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“史上最高年俸選手”獲得で変化? ドジャースが結ぶ長期大型契約の背景とは…【MLB】

2024/04/21

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ドジャース補強方針の後押しとなったのは二刀流スター?

 
 ドジャースがこれほどの資金を投入できるようになったのは、やはり大谷翔平の加入が大きい。大谷は10年7億ドルの契約を結び年俸換算で7000万ドルだが、その97%を後払いにしたため契約期間中の支払いは総額で2000万ドルしかない。
 
 これはドジャースの今後10年の資金を確保しただけでなく、贅沢税計算上の年俸も圧縮できたため支払う贅沢税も少なくて済む。
 
 さらには大谷への支払いのための資金は別途確保・保存しておく必要があるが、球団の筆頭オーナーであり、3100億ドルの取扱額を誇る投資顧問会社『グッゲンハイム・パートナーズ』のCEО(最高経営責任者)でもあるマーク・ウォルター氏がバックにつくドジャースはこの資産も最大限活用するのだろう。おまけに大谷の契約には浮いた資金を補強に回すことを定める条項が付いている。
 

 
 また、大谷翔平はドジャースに新たな収入源をもたらした。米メディア紙『LA Times』のBill Shaikin氏によれば大谷加入後ドジャースは『ANA』、『KOWA』などの日本企業とパートナーシップ契約を結んだようである。中継をよく見ればドジャースタジアムには既に日本企業の広告が多く配置されている。『LA Times』によればこれらの広告が生み出す収益は年間5000万ドルに上るという。
 
 一安心なのは、ドジャースには球界トップクラスの育成能力とファームシステムがあることだ。ベテラン選手が怪我や不振などに陥ってしまったとしても若手がその穴を埋めることができる。今でもホセ・デパウラやドールトン・ラッシングなどのプロスペクトがマイナーに控えている。
 
 ベテラン選手の復活もドジャースの得意技だ。FA市場で安く仕入れたベテラン選手を再生させるのはドジャースが毎年のようにしてきたことだ。自軍の選手を復活させることもできるだろう。
 
 懸念があるとすればペイロールの面である。「ドジャースはカネを印刷している」と揶揄されるほど資金力が豊富な球団ではあるが、現在の大型契約でペイロールの半分近くが埋まっていることは将来のスター選手獲得にはいい影響を持たない。現有戦力に限界が来た時に爆発力をもたらすのはやはりスター選手である。
 
 最大の安心はやはりアンドリュー・フリードマン氏だ。大谷の契約にはフリードマンが辞任すれば契約を破棄できる条項が含まれているため、契約期間中、大谷とフリードマン氏は一心同体といえる。球界最高の頭脳がいれば多少の波風は乗り越えられるとファンは信じている。ドジャースの将来は神のみぞ知るというところだが、良いほうに傾くことをファンとして祈っている。
 

 
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【了】

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