【MLB】ヤンキース田中が失った信頼――2試合連続中4日登板失敗の代償
2試合続けて中4日で登板したヤンキースの田中だが、結果はでなかった。メジャーのエースに求められる登板間隔で成果を上げない限り、真のエースとはいえない。
2016/05/22
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3試合連続中4日を回避した意味
実はこの選択の意味は重い。メジャーではエース投手の中4日登板を尊重し、登板可能な試合が被った場合でもエースを優先して起用する。田中が中4日に対応するエースとして認められているならば、20日の先発が田中、21日にサバシアとなるのが普通なのだ。
「結論付けるのは早い。確かに前回の登板は精彩を欠いた」と語るのはジョー・ジラルディ監督。田中が中4日ではパフォーマンスを発揮できない、という世論に水をかけようと必死だ。
確かに通算成績で見た場合、中4日は16試合で7勝4敗、防御率3.39。それに比べ中5日は26試合で13勝7敗、防御率3.10。通算の数字上は大差がない。ちなみに中6日以上では10試合で6勝1敗、防御率3.25となっている。
ただテスト的意味合いも兼ねた直近2試合の内容があまりにも悪すぎる。
これで中5日が続く今後2度の登板で好投しても、逆に「田中には中4日は無理。中5日の投手なのだ」という論調が強まるばかりだ。
1年目の7月に右肘のじん帯部分損傷が発覚して以降、腫れ物に触るようだった田中の起用法。それが今季は開幕から安定した投球を見せていたため、2試合連続中4日というテストに至った。そこで演じた失態は、簡単には取り返せないほどのダメージを負った。
田中は失敗を糧に変える力を持った投手だ。駒大苫小牧、楽天時代を通じて、その論に異を唱える日本野球ファンは少ないだろう。
でも仮に、中5日で迎える今後2試合で、田中が文句なしの好投を演じても、仕立てられた仮説に異を唱えることはできない。
ハンディキャップを負った2試合。それでも田中は全力で相手打線を抑えにかかるだろう。レッテルはそれだけでははがせない。再び訪れるであろう中4日の試練。それに打ち勝たない限り、真のエースの座はつかめない。