【レ軍番米国人記者の眼】田澤・上原への依存再び――スミス今季絶望も補強せず、2人は不運の被害者
現在、レッドソックスは首位だが大きな懸念材料ができた。それはリリーフ陣の一角のカーソン・スミスの離脱だ。この離脱によって再び上原・田澤の登板機会が増える可能性が出てきた。
2016/05/27
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このままではリリーフ陣が疲弊
「スミスは不在だが、私はブルペン陣を信頼している」とファレルが続ける。「ヘンブリーとバーンズもいる。彼らの活躍により、タズとコウジの肩を温存できるだろう」
だが、ファレルが「タズとコウジ」と言えば言うほど、チームがこの2人に頼りきっている現状が明るみに出る。
バーンズとヘンブリーを軽視するつもりはないが、この“タズとコウジ”の実績と現在の重要性は、レッドソックスが感じる以上に大きいのだ。そして私自身、彼らが残りのシーズンも今と同じぐらいの活躍を見せてくれると信じる一方で、今と同じような起用法には反対せざるを得ない。
スミスが復帰する前提で、2人を多用していたのは、理にかなっている。だが、スミスが戦列を離脱した今、球団は方針を変える必要があるだろう。
ここで、レ軍野球運営部門の社長と務めるデーブ・ドンブロウスキー氏のコメントを紹介する。彼は、現状と今後について次のように述べている。
「現在のところ、これまでと同じ方法を続けるのが得策だ。フルペンが今後どう機能するのか見てから考えたい。ブルペン投手にチャンスを与え、今後もこれまでと同じような活躍を見せてもらいたい」
ドンブロウスキーもファレル監督も、知恵のある人間だ。シーズン2カ月目が終わろうとしている今、チームはリーグ首位を走っており、調子も良い。今の段階でスミスに変わる投手を探す必要がないと考えるのも頷ける。
さらにもし今、球団にトレードの意向があると伝えてしまえば、他球団に向けて、弱みを晒すことになり、レッドソックスに有利な交渉はできなくなってしまう。
読者の方には、このコラム、そして私の意見を数カ月記憶に留めてもらいたい。来月から7月にかけて、レッドソックスは信頼の置けるリリーバーの獲得に奔走し、所構わず電話をかけるはずだ。彼らは、それ以外に方法がなくなるだろう。
レッドソックスのブルペンは、今のままでは全員が疲弊してしまう。その矢面に立たされているのが、タズとコウジなのだ。