山本由伸がIL入りの「緊急事態」…メジャー1年目の”変化”とドジャースの”動向”は…?【MLB】
2024/06/25
Getty Images
シーズン当初の山本の投球
シーズン初戦のパドレス戦では山本が1回5失点と大炎上してしまったのは衝撃的だった。その後の山本は立て直したものの、投手史上最高の契約総額をもらった選手としては物足りない成績だった。
これは単に山本の投球スタイルがメジャーに合わなかったのではないか。日本球界では「ボールを低めに集めろ」とよく叫ばれており、メジャー移籍当初は山本もフォーシームとスプリットを低めに集めることでピッチトンネル効果を期待し、加えて大きく落ちるカーブでタイミングを外す投球スタイルをとっていた。
米メディア『The Athletic』の取材によれば、ドジャースのコーチ陣はNPBでは山本がボールを低めに集めたことを理解しており、基本は低めで良い、目線を変えカーブ・スプリットを活かすために時々高めに投げよう、というスタンスだったようだ。
しかしメジャーではこれが通用しない。山本のフォーシームは縦変化量こそ平均より少し上くらいのレベルだが、低いリリースポイントの影響で打者にはフラットに見える。このためフォーシームを高めに投げ込んだ方が良い。
ところが山本はフォーシームをゾーン真ん中付近に集めてしまい痛打を浴び続けてしまった。山本と似たような形のフォーシームを持つのがザック・ウィーラーとグレイソン・ロドリゲスだが、2人ともフォーシームを高めに集めることで高い空振り率を達成していることが分かる。
エリートなスプリットとユニークなカーブが3割越えの空振り率を維持していたため、低い防御率を維持できていたものの、特に長いイニングを投げる先発投手としては必須な速球系がほとんど使い物にならない状態では、契約額に見合うだけの支配力を打者に見せつけることはできていなかった。