大谷翔平、”MVP級”の活躍続く明確な理由がわかる!? データでみる絶好調の要因は…?【コラム】
2024/07/09
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6月は何が変わった?その打撃内容を徹底分析
好不調の波に相関し、その相関の仕方が途中から変わっている指標がある。これはボール球に手を出す割合、O-Swing%だ。以下、米分析サイト『FanGraphs』より、OPS、O-Swing%の相関を示すグラフを作成した。横軸は日付ではなく試合数(Game Number)になっている。
2つの指標の動き方・相関の仕方が、時期によって変わっているのが興味深いところだ。まとめると以下のようになる。
 
・35試合ころ(5月上旬)まで
OPSとO-Swing%の動きが類似。
・それ以降
OPSとO-Swing%は逆に動き、OPSが上昇すればO-Swing%は低下。
状態が上がっていく中でボール球に手を出す割合も増えたこと、これがその後しばらくの成績低下につながったこと、ボール球を見極めるようになってから好調に転じて6月の好調につながっていることがうかがえる。
期間別の成績をまとめてみた。打率/OPS、本塁打、三振、四球の順に並べた。
5月中旬:.294/.885 2本、7三振、4四球
5月下旬:.206/.611 1本、9三振、1四球
6月上旬:.206/.594 1本、11三振、3四球
6月中旬:.368/1.399 6本、5三振、7四球
6月下旬:.296/1.326 5本、10三振、10四球
不調だった5月下旬~6月上旬に関しては、その前後に比べ三振は多く、四球は少なくなっている。好調に転じた6月中旬に入り、四球は増加、三振は減少に転じた。6月下旬の三振の増加については後述する。
6月11日~30日に大谷選手が本塁打を打ったボールの球種とコースを一覧にすると以下のようになる。
球種は半分近くがスライダーになるが、他の球種も本塁打にしている。打ったボールの球速も幅広い。本塁打にしたコースは、真ん中ないしはその周辺が多い。
真ん中近辺に来たボールは球種・球速に関わりなくしっかり捉えていること、すなわち好球必打にフォーカスしていることが、本塁打の増加にもつながっているのだろう。これは6月中旬以降の三振やボール球の空振りの減少と符合している。
また、5月半ばまで苦手だったコースも克服している。開幕以降のコース別のOPSの打率・長打率につき5月12日時点(以前当コラムでも掲載)、6月30日時点とで比較すると、5月半ばで苦手としていた真ん中高め、インコース低めの数字が6月30日時点では得意コースと言えるほどに大きく改善した。真ん中の打率は4割台後半にまでなった。