【MLB】ダルビッシュ有が見せた「2つの顔」。ギアの上げ下げこそ、完全復活に向けた大事な指針
レンジャーズ・ダルビッシュ有が3日に先発し、5回2/3を6安打3失点に抑え復帰後2連勝を飾った。
2016/06/07
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監督に続投を志願
「全体的には、速球の切れはそれほどまでではなかったかもしれない。でも緩急をうまくつけ、それが強力打線にはとても有効だった」
加えて指揮官が評価したのは交代を告げた場面だ。6回に1点を失い3点差に迫られ、2死一塁で打席に李大浩を迎えた場面で交代を告げられた。その時点で球数は予定に近い88球だった。
ここでダグアウトを出るバニスター監督に、ダルビッシュはアイコンタクトで「来ないでくれ」と続投を志願していたという。
「まだ投げたかったみたいだね」と同監督。「彼のボディーランゲージでそれを感じて、うれしく思ったんだ。彼はマウンドで戦っていたし、もう一人打ち取ろうとしていた。我々はそれが好きだし、望んでいたものだ」と1年以上のブランクを経ても、闘争心は全く衰えていないことを頼もしく感じていた。
トミー・ジョン手術から復帰した投手は、復帰初年度は球数やイニングなどの球数制限を受け、いきなり全開とはいかない。より球質が良くなるのは2年目以降とも言われる。
初年度の投球は、必要以上に無理をしないことが肝心。その上でチームの勝利に貢献することも義務付けられる。相反する難しい命題を両立させる器用さと投球術。最大出力の凄味と、ギアを下げた状態でもアウトを重ねたこの日の「2つの顔」は、完全復活への視界をよりクリアなものにした。