MLBを目指すキューバ人亡命選手 加熱する争奪戦の光と影【豊浦彰太郎のBall Game Biz】
今季はNPBにキューバ人選手が国家プロジェクトとして来日し、各チームの中心選手と活躍した。そんな彼らはどちらかというとピークを過ぎた大物が中心と言える。その一方でキューバの若手選手は亡命してメジャーへ渡る。そこには、物理的な危険と斡旋業者とのトラブルのリスクが存在していることも否定できない。
2014/11/29
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MLBでキューバ人選手が相次いでブレイク
去就が注目されていたキューバからの亡命選手、ヤズマニ・トマスが6年総額6850万ドル(約78億2000万円)でダイヤモンドバックスと契約した。2013年のWBCでは日本のファンにもその打棒を披露した彼は、11月14日に24歳になったばかり。
6月にキューバからハイチへ亡命。そこで、海外FAとしてメジャー球団との契約の機会を窺っていた。
今季、メジャーではキューバ人ルーキーのブレイクが相次いだ。
アリーグの新人王ホワイトソックスのホゼ・アブレイユは前半戦で29本塁打を放った(最終的には37本)。マリナーズのロエニス・エリアスは規定投球回に達し10勝。他にもカブスのホルヘ・ソレーアが8月下旬に昇格し24試合で5本塁打。大争奪戦でレッソソックス入りしたルスネイ・カスティーヨもデビューを果たした。
彼ら以外でも近年、速球王アロスディス・チャップマン(レッズ)、ともに来日経験のあるヤシエル・プイーグ(ドジャース)とヨエニス・セスペデス(レッドソックス)らがセンセーションを巻き起こした。
キューバ旋風は日本でも同様だ。フレデリク・セペダ(巨人)、ユリエスキ・グリエル(DeNA)、アルフレド・デスパイネ(ロッテ)らの入団は大きな話題になった。
彼らの日本行きは国策だ。
キューバ政府は、昨年9月にスポーツ選手の海外プロリーグ所属を認めたのだ。この場合、年俸の一部は政府が得る。
日本でプレーする「キューバの至宝」は、セペダの年俸は推定1億5000万円でグリエルは推定1億円と言われる。キューバ国内での物価を考慮すると彼らにとってはとてつもない高額だろう。