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ドジャースの”悲劇”はいつまで続く…MLBで投手の故障者が続出、その理由と現状とは…?【コラム】

2024/08/25

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ピッチクロックとボールの問題

屈むタイラー・グラスノー
 
 選手側が怪我の原因であると盛んに主張しているのがピッチクロック導入と滑りやすいボールである。ピッチクロックは2023年シーズンに導入され、それまで無制限だった投球間の時間に制限時間が入った。これが投手の休憩時間を減らし体への負担が増えたと選手は主張する。
 
 加えて2024年シーズン終了後にはランナーありの状態で20秒→18秒へ時間がさらに減らされた。ポッドキャスト番組『ファウル・テリトリー』において、レンジャースの投手マックス・シャーザーはピッチクロック導入以降、怪我の重症度が上がったと主張している。
 
 また、先日トミー・ジョン手術を受けることになってしまったドジャースのリバー・ライアンは、ピッチクロックが体に継続的な負担を与えてしまっているとのコメントを残している。
 
 メジャー特有の滑りやすいボールも問題となっている。2021年シーズン中にMLB機構は投手が粘着物質をボールにつけて回転数を上げることを取り締まり始めた。
 
 しかし、そもそも投手が粘着物質を使用していたのはボールが大きく握りづらいものであり、コントロールミスによる死球を防ぐためであった。このことからMLB機構も粘着物質使用を黙認していた。回転数上昇による打撃力低下も問題だが、適応期間を経ずに突如として何も使用してはいけない、となったことで投手も困惑したようである。
 
 粘着物質だけでなくロジンの過使用や日焼け止や汗とのミックスまでも禁止され、ルールを理解していないうえでの退場処分も多かった。ドジャースのグラスノーはルール施行後、グリップの仕方・強さを変える必要があったことを度々発言している。
 
 関係者の間では滑りにくいとされているNPBボールの研究や禁止された粘着物質に代わる公式粘着物質の開発がささやかれているが、公式な動きは未だない。
 

 

チームに求められること

 今季のドジャースでは新たに3人がトミー・ジョン手術を受けることになってしまったが、オフに積極的な先発補強を行ったり、頭一つ抜けた育成能力で厚いデプスを持っていたりすることで何とかしのぐことができた。
 
 しかし、来季も同じ状況に陥った場合は上手くいかないだろう。決定的な解決策は依然出てきていないが、球速に頼らないピッチングスタイルの確立や耐久力のある選手の育成などへの研究が求められるだろう。

 
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【了】

 

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