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「今から162試合やれと言われても、僕はできる」――2015年、イチローは自分の輝ける〝新天地〟で前人未到の世界記録に挑む

イチローのキャリアと数字は、やはり切っても切れない。2015年、イチローは新しいチームのユニフォームを着る可能性が高い。チームの勝利と野球人として輝ける働き場所を探して……そして、これまで日米通算4122本の安打を積み上げたイチローは、ピート・ローズが持つ世界記録4256安打更新を狙う。

2014/12/01

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自分が輝ける働き場所を探す

 大リーグのFA市場は広大なパズルのようなものだ。イチローの移籍候補で先に挙げたダイヤモンドバックスは、11月末にキューバ出身の亡命外野手ヤスマニー・トマスと6年契約に合意した。こうなると、イチローの優先順位が下がる。

 逆にトマスを狙っていた他球団では優先順位が挙がる。チームのプライオリティが先発投手補強にあれば、有力先発投手をトレードで獲得するためにレギュラー外野手を放出する球団も出てくるだろう。ここから12月8日からのウインターミーティングを挟んで、あちこちで大型契約や大型トレードが成立していく。その過程で、イチローというピースを必要とするメジャー球団が、必ず出てくる。

 イチローの経歴を語る上で、個人タイトルの多さと対照的に、チームタイトルの不足を挙げる声がある。

 確かにワールドシリーズのチャンピオンリングはもちろん、リーグ優勝すら手にしたことはない。

 それでも、ポストシーズンという舞台で残してきた個人成績は、実はレギュラーシーズンのそれと遜色ないレベルにある。

 イチローのポストシーズン通算打率は.346。75打席以上経験した現役選手では、ジェームズ・ロニー(レイズ)の.354に次ぐ2位。12年ワールドシリーズMVPに輝き、ジャイアンツを3度の世界一に導いたことから「ポストシーズン男」の異名を持ち、今オフにレッドソックスと5年総額1億ドル(約119億円)で契約したパブロ・サンドバルの.344さえも上回っている。

 マリナーズ入団1年目の01年にチームはメジャー記録の年間116勝を挙げたが、リーグ優勝決定シリーズでは黄金期にあったヤンキースに惜敗。ヤンキース移籍後はチームが過渡期を迎えており、ここ2年間は続けてポストシーズン進出を逃した。

 キャリアの中で確かにチームタイトルには縁がないが、そこでのイチローの働きに不満の声を挙げるのは、何ら根拠のない暴論でしかない。

 イチロー自身、チームタイトルを求めた発言を積極的にしているわけではない。
 キャリアの晩年にさしかかっているのは事実で、求めているのはあくまで野球人・イチローとして、自分の仕事が行える場所。それは今年ヤンキースで与えられた仕事場とは違う。

 本当の仕事場がしっかりと見つかった時。そのあかつきには、2015年、前人未踏と呼ぶにふさわしい2つの偉大なマイルストーンが打ち立てられるであろう。

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