ドジャースが強いのは”スター揃い”だからではない!? ”常勝軍団”であり続けられる理由とは…?【コラム】
2024/09/05
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ドジャースの先進性(スイーパー導入)
2022年、ピッチング的には”スイーパーの年”と呼ばれた。これは2020~2021年にかけてスイーパーの投げ方が体系化され、各球団にそのノウハウが広がっていったからだ。大谷翔平をはじめ多くの投手がスイーパーを投げるようになり、その有効性が球界全体で確認された年となった。
これを2021年に始めたのがドジャースとブレイク・トライネンだとされている。トライネンは2018年にオークランド・アスレチックスで68試合に登板し防御率0.78と驚異的な数字をマーク、サイヤング賞投票も獲得した。
ところが、翌年に成績が悪化。2020年にドジャースに加入するも27試合の登板で防御率3.86と微妙な成績で終わった。トライネンは元々フォーシーム/シンカーの速球を主な球種としていたが、これらの効力低下が成績悪化の要因となっていた。そこでドジャースは視点を変え、トライネンのスライダーの改造に取り掛かった。
20年のスライダーは真っすぐ縦に落ちるような変化をしていた。これを2021年に球のグリップを変更し、より横滑りするような変化(スイーパー)をするようにしたところスライダーのパフォーマンスが向上した。
加えてシンカー偏重により課題となっていた左打者対策のためにカッターの割合を3倍にした。これによりトライネンは再度球界随一のリリーフ投手となることができた。
前年からのトライネンの変化量推移をプロットに示した。(左2020年、右2021年) 黄色のスライダーの点の集合が左(グラブ側)にシフトしている。
ドジャースのスイーパー活用はその後も続き、現在ドジャースのクローザーを務めるエヴァン・フィリップスは、スイーパーの割合を大幅に増やしたことで現在の一線級リリーフに成長した。
将来を嘱望されたものの、なかなか才能を活かせていなかったアンドリュー・ヒーニーはドジャースと1年契約を結んだ後、カーブを捨てスイーパーを取り入れることでテキサス・レンジャーズと複数年契約を結ぶまでに成長した。
コロラド・ロッキーズでキャリアの瀬戸際にあったイエンシー・アルモンテはドジャース加入後にシンカー、スイーパーを取り入れリリーフエースになることができた。
このうちアルモンテはマイケル・ブッシュと共にシカゴ・カブスにトレードされ、現在ドジャースのプロスペクトランキングで5位と11位に位置するジャクソン・フェリスとザヒア・ホープをもたらした。
このようにして球界全体の1歩先を歩くことで現在、あるいは将来にわたって成功する投手陣を作り上げるのだ。