ドジャースはやっぱり強かった…2024年レギュラーシーズンの総括、WSへ向けた想いとは【コラム】
2024/10/10
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期待値を遥かに上回った“ユニコーン”
元来大谷翔平の価値は投手・DHを同時に高いレベルでこなせるところにあった。ドジャースが7億ドルを費やしたのも、ほとんどがこの点が理由だろう。
しかし、今季は昨季受けたTJ(トミー・ジョン手術)+インターナルブレース手術の影響で投手としての活動は不可、DH専用としての出場だった。当然、投手としてのプラスが無い以上、過去3年間のようなMVP級の活躍は不可能なはずであった。
実際にシーズン前のMVPオッズは昨季MVP争いを演じ、ワン・ツーフィニッシュとなったベッツ、ロナルド・アクーニャJr.がトップを形成し、大谷は5位近辺に位置していた。
シーズンが始まってからも例によって優秀な打撃成績を残していたものの、ショート守備と打撃を両立するベッツに後塵を拝していた。HR数も多かったが、DHのマイナスをひっくり返すほどの数ではなかった。
ところが、6月に入ると大谷はギアを切り替え、躍進した。6月のOPSは1.110、HR12本、7月はOPS1.008、HR6本となった。さらに盗塁数も急増し、4~6月平均が5だったのが、7月には12、8月には15と3倍近くになった。
8月23日にはサヨナラグランドスラムをホームで放ち、史上最速での40-40を達成。9月19日には史上初の50-50を達成した。ちなみにシーズン前のある賭けマーケットでは50-50を達成する選手のオッズはマイナス50000であった。それ程誰も予期していないことだった。
このような活躍もあって、前述のベッツは故障してしまったが、同様にエリートなショート守備と30-30を達成する勢いであったニューヨーク・メッツのフランシスコ・リンドアを抑え、現在では2位を大きく離した状態でMVPオッズトップに浮上した。
もともとベッツ、フリーマンを基盤としたドジャースをさらなる高みへ導く存在として大谷を迎え入れたはずだったが、ベッツの故障やフリーマンの不振・離脱もあり、大谷は加入初年度からドジャースの地区優勝に欠かせない存在となった。来季からは二刀流として復帰する大谷に、今から期待が高まっている。