【MLB】イチロー、米メディアに明かす今後の現役生活「フィジカルは問題なし。一緒にいて楽しい同僚がいるか」
イチローが現地メディアの取材にメジャーで成功した理由、昨今の日米通算安打に対するローズの評価や、今後のビジョンについて明かした。
2016/07/05
Getty Images
1年目の懐疑的な眼が発奮材料
3000本安打が目前に迫ったマイアミ・マーリンズのイチローに関しては、話題のタネが多い。史上4人目の外国生まれの選手による記録達成となることや、27歳という高齢でのデビューでありながらこのマイルストーンに到達することなどだ。
しかし、それと同じくらい注目すべきは、彼の独特のスタイルだ。『ニューヨーク・タイムズ』はデビッド・ウォールドスタイン記者による「至上の打者イチローが問答無用の数字に到達する」という記事で、「嗤(わら)われること」が原点だったことや、その野球観を紹介している。
まず、記事では取材が行われた7月1日の試合前クラブハウスでのイチローの姿を描写している。
Sitting at his locker in the visitors’ clubhouse at Turner Field, filing his fingernails in preparation for his 2,424th game in the majors, Ichiro Suzuki was the portrait of calm.
ターナーフィールドのビジター用クラブハウスのロッカー前に腰かけ、爪の手入れをしながらメジャー通算2424試合目に備えていた。イチローは静かな肖像だった。
イチローは間もなく史上30人目の3000本安打を達成する。27歳のデビューからの記録達成は、これまでの記録を3歳も更新するものだ。
ウォールドスタイン記者にメジャーでの成功の要因の一つについて、いつものように通訳のアラン・ターナーを通じ語り始めた。記事でも、「彼は流暢な英語を話す」ことが紹介されているが、それがイチロー流なのだ。そして、その要因とは、日米通算でピート・ローズの4256安打を超えた日の会見で語った「嗤われる」ことだった。
“When I first came, there were some people who thought I couldn’t even last a year,”
「初めてここに来た時は、1シーズンすら全うできないだろうと思う人もいた」
“I’ve heard a lot of things. And here we are today, and you are asking me these kinds of questions. That is what I have pride in.”
「当時はあれこれ言われたよ。それが今じゃ、こんなインタビューをされている。これこそ、誇りに思うこと」
渡米初年度となる2001年のスプリングトレーニングの幕が開いた頃、多くのアメリカのメディアやファンはイチローがメジャーでやっていけるかどうか、懐疑的だった、と記事では述べられている。
“They saw this guy from Japan who was small and said, ‘Who is this guy?’” Suzuki said.
「日本からやって来たおちびちゃんを見て、一体あいつはだれだ?って言われたよ」とイチローは語った。当時を述懐するに率直だ。
「その時は結構ナーバスになったし、不安もあったし、その分やってやろうという気持ちもあった。そして孤独だった。メディアや同僚からの視線もあったしね」
それこそ、当時のルー・ピネラ監督ですら、日本メディアに向かってこう語ったことをイチローはよく覚えているという。「怪我なく過ごせば、彼なら打率.280くらい打てると思うよ」
その後の彼の活躍は紹介するまでもないが、キャンプでの厳しい視線が発奮材料になったことは間違いない。