【MLB】前田健太の後半戦に不安。日本人投手の1年目は失速の傾向あり
ドジャースの前田健太は後半戦初戦で7敗目を喫した。ここまでの投球内容と過去の日本人投手の1年目と比較してみた。
2016/07/19
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後半戦はどの投手も軒並み防御率が悪化
デビューイヤーに規定投球回をクリアした5人のなかには、2点台どころか3点台前半の防御率ですら、野茂の他にはいない。2008年の黒田博樹(ドジャース)でも3.73で、野茂とは1点以上の開きがあった。前田は黒田を凌ぐだけでなく、野茂に続き、デビューイヤーに防御率3.50未満を記録した2人目の日本人投手となる可能性を持つ。2012年の岩隈久志(マリナーズ)は防御率3.16、2014年の田中は防御率2.77ながら、どちらも規定投球回には遠く及ばなかった。
また、前田は奪三振率9.33と与四球率2.67を記録していて、K/BB3.50は野茂の3.03を上回っている。こちらも、デビューイヤーに3.00以上の日本人投手は野茂だけだ。
ただ、デビューイヤーに規定投球回をクリアした日本人投手は、いずれも後半戦に防御率を悪化させた。野茂も例外ではなく、前半戦の1.99に対して後半戦は3.03。先発登板したオールスターゲームを挟み、1以上も跳ね上がった。5人のうち、前半戦と後半戦の差が最も小さいダルビッシュでも、0.67上昇した。
サンプル数として5人は多くなく、むしろ少ないと言ったほうが正しいが、全員が同じ傾向を示している点は、偶然では片づけにくい。例えば、メジャー2年目に規定投球回以上を投げた日本人投手6人はバラつきがあり、2人は前半戦よりも後半戦の防御率が悪かったが、4人はその逆だった。
デビューイヤーの5人が揃って後半戦に失速していることについては、あくまで推測の域を出ないものの、疲労の蓄積が考えられる。そこには、フィジカル面だけでなくメンタル面も含まれる。日本で実績があるとはいえ、メジャーで投げるのは初めて。適応しなければならないことがフィールド内外に存在し、それらが、日本時代やメジャー2年目以降よりも疲労をもたらしたというわけだ。
同じように、前田も後半戦に防御率を悪化させてもおかしくない。もちろん、前例を覆すかもしれず、そう願っているが、前田の今シーズンが歴代の日本人投手のなかでも素晴らしいデビューイヤーになるかどうかは今後次第だ。シーズンは折り返したばかり。まだ2カ月以上が残っている。