ドジャース・山本由伸が誇るMLB屈指の能力とは!? 大型契約で求められる次なる”進化”は…?【コラム】
2024/12/25
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3球種での行き詰まりからの球種追加
開幕当初の山本はフォーシーム、カーブ、スプリットの3球種のみ使用していた。この3球種はそれぞれユニークな特徴を持っている。
フォーシームは低いリリースから生み出されるフラットな軌道、スプリットはメジャートップクラスの球速と縦変化の両立、カーブはその形から打者のタイミングと目線を外す効果を持っている。
しかし、この3球種だけでは足りなかった。スプリットとカーブはその威力をいかんなく発揮していたが、これらの球種をセットアップする役割を果たすフォーシームが低め~真ん中に集まってしまい、長打の原因となってしまっていた。
NPBでは低めの制球が重視されるが、山本のような低リリースである程度の縦変化があるフラットなフォーシームはメジャーでは高めに投げ空振りを奪う球種として扱われる。そこのギャップに苦労したのかもしれない。
また、3つしか引き出しがない+スプリット/カーブは繰り返しストライクが取れる球種ではないことから、どれか1つが崩れるとすべてが崩れてしまっていた。
しかし、ドジャースと山本も手をこまねいていたわけではない。5月に入るとカッター、シンカー、スライダーを本格的に使い始めた。全体の割合としてはそれぞれ1桁%に収まっているが、それぞれの球種がそれぞれの役割を果たした。
カッターは主に左打者の内角に食い込む役割を果たした。左打者への投球箇所を見ると、フォーシームを外角へ、カッターを内角へ、スプリットを真ん中~外角へ落とすというアプローチが見えてくる。
シンカー、スライダーはほぼ同じ時期に導入され、右打者に対するゾーンの横を活かすことに利用された。フォーシームと組み合わされたシンカー/スライダーはシンカーを内角、スライダー/フォーシームを外角へ投げることで空振りを奪うアプローチを確立した。
特にスライダーは平均以上の球速と横変化により、48球とサンプルは小さいが被打率.158, 被長打率.211, SwgStr% 20.8とスプリットと同等かそれ以上に効果的な球となっていた。