ドジャース、2025年は”弱点克服”のシーズンに!? MLB投手が苦しむ大きな「問題」とは【コラム】
2025/01/12 NEW
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“投手の進化”が故障リスク増加に…?
故障増加の原因はStuffの追求
レポートでは故障増加へ寄与する様々な要因が挙げられているが、最も大きく、確かであるとされているのが投手によるStuff(=球威)、その源泉となる球速、変化量、スピン量の追求だ。
2008年にピッチトラッキングが導入されて以降、球速は上昇し続けている。
フォーシームの球速が上昇し続けていることは有名な話だが、スライダー、カーブ、チェンジアップなどの変化球でも球速の上昇がみられる。
ジェイコブ・デグロムの90マイル(約144キロ)中盤に達するスライダーやサンディ・アルカンタラの高速チェンジアップの登場からも速球・変化球の両方で球速追求が進んでいることが分かる。
レポートではあるバイオメカニクス専門家のコメントが、以下のように掲載されている。
「腕を早く振れば、価値は上がっていく。誰もがスカウトに気づいてもらうためにそれを追及している。」
球速の追求過程においてはMLBで流行する危ない習慣が指摘されている。それがMax-Effort(全力)での投球だ。
多くの先発投手が200イニングを当たり前に投げていた10~20年前では、投手の技術として通常の場面では力を抜いて投球し、ピンチや強打者との対決では力を入れて投げるというものがあった。
しかし最近の投手は全ての場面を全力で投げる。つまり現代の投手は単に球速が上がっているだけでなく、身体の限界に近いレベルで投球しているのである。
オフシーズンの過ごし方
近年は球種の改良や、新球種の追加のためにオフシーズンにトレーニング施設に通ったり、球団の施設で投球プログラムをこなしたりする選手が増えている。
レポートでは近年流行するこの習慣が、故障の増加に寄与している可能性があると指摘する。その根拠としてスプリングトレーニング~開幕日とそれ以降の故障者リスト(=IL)登録件数のトレンドの違いを挙げている。
2020年の変則シーズン以降シーズン中のIL登録件数は減っている一方で、春先の登録件数は急増している。オフシーズンにしっかり休養せずにトレーニングをすることが、この春先の故障増加につながっているとしている。