ドジャース、新加入の大物・スネルに”不評”も!? マイナス評価が集まる理由とは…?【コラム】
2025/01/20 NEW
Getty Images
ブレイク・スネルの真の制球力
先ずはシンプルなところから見ていこう。2022~2024年スパンにおいて、ブレイク・スネルのBB%(四球率)は11.4で球界ワースト2位だ。
BB%が高い順に投手を並べると防御率3点台後半以上の投手が多いわけだが、スネルだけが防御率2点台である。3点台後半といえば平均程度となるが、2点台ではエリート級だ。年によってはサイ・ヤング賞争いに入ることもあるだろう。この違いとは何だろうか。
米トレーニング施設『Driveline Baseball』が作った機械学習モデルである『Command+』は投手が意図した場所に投げられているかを示した指標だが、そのランキングにおいてスネルはジョージ・カービー、アーロン・ノラなどの制球力に定評のある投手たちと並んで上位に位置している。
つまりスネルは”意図した場所に投げる能力”においてはエリートレベルであるということだ。では、なぜスネルは四球を積み上げてしまうのだろうか。
それは、ど真ん中を徹底的に避けているからだ。2024年シーズンに1000球以上投げている投手271人の中でのHeart%(ゾーン真ん中に投げている割合)は21.7%で、メジャー全体において7位となっている。
このランキングで270位のジャスティン・スティールとのフォーシームヒットマップを比べると違いがはっきり分かる。スネルはゾーンのエッジ付近~ゾーン外に球威のある球を放ることで打者の空振りを誘っている。
さらに最速98マイル(約157キロ)+平均以上の縦変化量を持つフォーシームと大きく曲がり落ちるカーブを軸に、90マイル(約144キロ)を超えるスライダーと右打者対策のチェンジアップを操る。球威を示すStuff+は、2024年は124で、100イニング以上投げた投手の中では全体3位だった。
また、スネルのフォーシームとスライダーのコンボはリリース角度がほぼ同じで、ボールが手から離れる瞬間には同じ球種に見える。2024年は近年流行りのピッチトンネルを駆使し多くの空振りを奪い、同年のスライダー空振り率は45.9%をマークした。
圧倒的な球威に支えられた「真ん中を避けゾーンエッジ/外で空振りを奪う投球スタイル」によりスネルは2021-2024年で500イニング以上を投げた投手の中で唯一のK%32.0以上を実現している。
スネルの投球スタイルならば1イニングで数個の四球なら許容できる。なぜなら、後続の打者は三振になるのでランナーが帰る可能性は限りなくゼロに近いからだ。事実、スネルの残塁率は過去5年全てにおいて70%以上である。