【MLB】イチロー・前田に存在感。内容に差のある田中と岩隈――前半戦終了、日本人選手総括
MLBは前半戦を終了した。これまで9人の日本人選手がプレーしたが、その内容を振り返ってみたい。
2016/07/13
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後半戦にそれぞれの課題あり
今シーズン、前半戦の試合に出場した日本人選手は9人いた。昨シーズンと比べると、前田健太(ドジャース)とダルビッシュ有(レンジャーズ)が増えたが、藤川球児と和田毅は日本へ戻り、村田透(インディアンス)はマイナーから昇格していないため、人数は1人減っている。
ここまでの前田は、ドジャースにとって期待以上の出来だろう。18先発中、5イニング未満の降板は2度あるが、失点が4を超えた試合はなく、防御率はリーグ12位の2.95(8勝6敗)。新人王レースではチームメイトのコリー・シーガーに先行されているものの、チームでローテーションを守り続けたのはスコット・カズミアー(防御率4.52)と前田だけという点でも、その働きは大きい。後半戦の不安材料は疲労の蓄積くらいか。クレイトン・カーショウ(防御率1.79)の故障が長引くようだと、前田の重要度はさらに増す。
田中将大(ヤンキース)と岩隈久志(マリナーズ)の投球回は前田より多く、200イニングを上回るペースながら、2人の内容には差がある。田中の奪三振率は前年の8.12から7.15へ下がったが、これは投球スタイルの変化によるもので、ゴロを打たせる割合が上がり、被本塁打は減っている。防御率はリーグ8位の3.23(6勝2敗)。後半戦の課題としては、中4日の8登板で5.33という点が挙げられる。中5日以上の10登板は防御率1.72だった。
一方、岩隈は味方打線から1登板平均6点以上の手厚い援護を受け、9勝(6敗)を挙げているものの、防御率は4.25と芳しくない。田中とは逆に、例年50%前後だったゴロ率が約10%も下がり、被本塁打が増えている。復調できるかどうかは、制球が鍵になりそうだ。与四球率2.13は決して悪くない数値だが、過去3年は1.75未満だった。
5月28日に復帰登板を果たしたダルビッシュは、3登板目に右肩の違和感で降板し、4登板目を回避後、故障者リストに入った。すでにマイナーで2度のリハビリ登板を終えていて、球宴明けに復帰するはずだ。最初の復帰3登板を見る限り、投球内容に問題はないが、今後、故障せずに投げ続けられるのかに不安を残す。
レッドソックスの上原浩治と田澤純一は、どちらも奪三振率は実質キャリアベスト(12.83と10.30)ながら、例年以上のペースで本塁打を打たれている(8本と5本)。2人ともオフにFAになるので、来シーズン以降の契約という意味でも、ここから持ち直す必要があるが、田澤は7月上旬に肩の張りを訴えており、上原はスプリットが不安定だ。